アイザック・アシモフ「黒後家蜘蛛の会」☆☆☆

黒後家蜘蛛の会

昔から仲の良い6人の男たちが月に一度集まり、美味しい食事と好き勝手な四方山話を楽しむ「黒後家蜘蛛の会」の晩餐会。

その時の幹事が招いたゲストは、この食事会の中だけの秘密として、自分の身の回りで起こったちょっとした不可解な出来事や謎めいた事などを話すのが決まりになっている。

そんな「黒後家蜘蛛の会」のゲストの面々が語るチョット不思議な事や謎めいた話に対して、出席したメンバーたちはああでもない、こうでもないと意見を交わしながら謎解きを楽しむのだが、最後に並外れた推理力を発揮して快刀乱麻に誰もが納得する回答を提示するのは、「黒後家蜘蛛の会」になくてはならない給仕のヘンリーだった。


そういったお決まりのパターンで綴られた安楽椅子探偵物のミステリィ連作短篇集です。

著者のアシモフは幅広いジャンルについて詳しい博学な人物ですが、この作品でも様々なジャンルにまたがる豊富な知識を駆使しながら、日常の些細な謎解きからスパイまがいの事件まで、実に多彩な事件を題材にして物語が展開していきます。

「黒後家蜘蛛の会」のメンバーは、化学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家と、いろいろな部門にまたがった専門家たちで、それぞれが自分が得意とする専門知識を披露しながら、滔々と自分の意見を述べる会話が実に楽しそうで、こういう教養を感じさせる会合というのは愉快なんだろうなぁと少々羨ましく思います。

ここで提示される謎解きは、第3巻に収録されている「欠けているもの」のように成る程ねと納得出来るものもあれば、今ひとつピンとこないものもありますけど、自分が知らない思いがけない知識が得られる喜びがあります。

作品の雰囲気も大人びて洒落ていて、管理人が大好きな作品の一つです。

5巻で終わってしまいましたが、もう少し楽しみたかったですね。

    

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