横山秀夫「震度0」☆☆
阪神大震災が起きた日の朝に県警幹部の失踪が発覚した。
人望も厚く事情通であった警察官の失踪は事件なのか、それとも蒸発なのか。
事件を契機にしてキャリア・ノンキャリア・準キャリアなどそれぞれの立場で県警内での激しい権力闘争が起こる。
さすがに横山秀夫と思わせてくれる緊張感のある警察小説の傑作です。
事件の謎ももちろん興味深いですけど、警察幹部やその妻たちの心理描写が秀悦です。
また失踪した警務課長は、どこか「半落ち」の主人公を思わせるような雰囲気が漂っていて、その辺りも気になる作品です。
ラストシーンでは、作者は本当に警察が好きで警察官をリスペクトしているんだなと思いました。
根底がしっかりしているから、横山秀夫の警察小説は安心して読めます。