岩明均「寄生獣」☆☆☆

寄生獣

ある夜、宇宙から正体不明の生物が地球に飛来した。

蛇のような紐状の生物である彼らは、寝ている人間の鼻や耳から人体に侵入し、脳にまで達して人間の身体を奪う。

変化自在な彼らは人間に擬態した上で、言葉や習慣や知識などを学習しながら人間社会に溶け込み、「この種を食い殺せ」という本能の赴くままに人間を捕食していく。

ごく普通の高校生・泉新一も、睡眠中にこの生物に襲われた。

しかし鼻から侵入しようとした生き物に気がついた新一は、それを鼻から引っ張りだし、更に右手から体内に侵入されるが右腕を縛り付けてそれ以上の移動を防ぎ、一夜明けても脳を奪われずに済んだ新一だったが、謎の生物は新一の右腕に寄生していた。

右腕に寄生して脳に寄生できなかった生物は、新一の身体を乗っ取ることを諦めて、新一と共生して生きていくことを選択する。


人間になりすます謎の怪生物と高校生との戦いを描いたアクション・マンガで、ちょっと古い作品ですけど読んでみると奥が深くてなかなか面白い作品です。

新一の脳に寄生し損なった生物は「ミギー」と名付けられ、新一と共生するうちに非情さが薄れ人間味を帯びていきます。

一方で新一は普通の高校生から、危険な雰囲気を漂わす青年に変化していく。

この辺りの皮肉な展開や、本能的に人間を敵と認識する寄生生物との戦い、進化するに連れて様々な個性が生まれていく寄生生物や、寄生生物以上に非人間的な犯罪者などが登場して、果たして人間って何だろうというテーマが膨らんでいきます。

自然と人間との関係性などを考察しながらエンターティメントに徹したユニークな作品だと思います。

全10巻キンドルで読みましたが、面白かった。

         

このページの先頭へ