G・K・チェスタトン「ブラウン神父の童心」☆☆

ブラウン神父の童心

風采の上がらないイギリス・サセックス教区のカトリックの司祭ブラウン神父が、鋭い洞察力と推理で難事件を解決していく推理小説シリーズの第1作目の短編集になります。

「青い十字架」「秘密の庭」「奇妙な足音」「飛ぶ星」「見えない男」「イズレイル・ガウの誉れ」「狂った形」「サラディン公の罪」「神の鉄槌」「アポロンの眼」「折れた剣」「三つの兇器」の12篇を収録しています。

ブラウン神父初登場となる「青い十字架」は、大怪盗フランボウと彼を追うフランスの名探偵ヴァランタンが、ブラウン神父の機智によって動かされていく話で、この短編集の中では一番面白かったですね。

「奇妙な足音」はこういう形のミステリィの古典のような作品で、出来栄えは兎も角、アイディアが光ると思います。

「サラディン公の罪」は意外性があって面白かった。

久しぶりにブラウン神父物を読んだけど、風采の上がらない小柄な神父が難問を見事に解決するというパターンは、定番ですけどやはり良いですねぇ。

水戸黄門が印籠を出して恐れ入ったかと言うような心地よさがあります。

管理人も歳を取って、血なまぐさい話や善人が泣きを見るような話はあまり読みたくありません。

そういう点では「ブラウン神父」は抽象的な表現や犯罪そのものに関わらない描写が少し多いような気はしますが、全体的には平穏な短編が多くて安心できます。


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