石川英輔「SF西遊記」☆☆☆

SF西遊記

サイボゲーションによって新しい形の超神仙に生まれ変わった孫悟空と、スーパーアンドロイドの猪八戒、半漁人の沙悟浄が、超光速船白馬号で旅する三蔵法師陳玄奘のお伴をして、地球から遥か遠くの惑星グリドラクータに住まう永遠の存在サーキ・ムニに教えを請うために、危険に満ちた宇宙を旅するという、西遊記を下敷きにしたSFパロディー小説です。


作者があとがきで書いている通り、原作の西遊記の荒唐無稽な面白さというのは、全く失われていなくて十分に味わえます。

1970年代に発表された作品ですが、SFと中国の古典大衆文学を見事に融合させた傑作で、流石に伝説のSF同人誌「宇宙塵」で人気投票No.1になっただけのことがあります。

万人が知っている西遊記がパロディの素材になっているところが面白いですね。

管理人はこのSF小説を読む前に平凡社の中国古典文学大系の西遊記を読んでいたので、特に面白さが倍増したかなと思います。

与太話系のSF小説としても、ブラックホール、質量や慣性を自由に操れる能力、四次元空間ワープや機械文明批判などのSFの素材は揃っていますし、おなじみの金角・銀角が情報処理装置を完成するために玄奘の脳を欲しがるような設定も上手いなぁと思いますね。

傑作だと思います。


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