石川英輔「プロジェクト・ゼロ」☆☆☆

プロジェクト・ゼロ

人間そっくりの演劇用アンドロイド「アマネット」を製造する会社が、米国の興行主兼コールガール組織のボスに依頼されて精密な娼婦ロボットを開発していく様子を描いたSF作品です。

アンドロイド完成に至るまでの技術的な課題を乗り越えて行く辺りが、技術者出身の石川英輔らしい表現で書かれています。

あまり評判になった記憶はありませんけど、なかなかユニークなテーマの作品で面白いですね。

しかし本当にこのようなロボットが開発された場合、社会的な影響はどうなんでしょう。

ただでさえ結婚しない・出来ない若者が増えている社会の現実がありますけど、それこそ人間の女なんて面倒だ!という男性が増えていきそうな気がします。もちろんSEXだけが結婚する理由ではないですけど、結婚という制度が相当変わっていくことは間違いないでしょう。

それと当然ながら、男性用のセクソイドだけあって、女性用がないのは伝々・・という議論が巻き起こるでしょうね。

こういうロボットを開発するとなると、技術の問題より倫理の問題がクローズアップされて、社会問題化されるんじゃないでしょうか。

そういう点で、技術開発をテーマとしたSF小説としてはすごく面白かったけど、人間の心理的な面に関しては少々疑問が残る作品ですね。


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