カール・セーガン「コンタクト」☆☆☆
非常に真摯な態度で書かれた密度の濃いSF小説です。ジョディ・フォスター主演で映画化されていますね。
ある日、電波望遠鏡が異星人からのものと思われる信号を捕らえる。
これは本当に異星人が発したメッセージなのか、異星人からのメッセージだとしたら、その内容はどういうことか。
信号を解読するために集まった科学者たちは、宇宙の公知となるようなものさしでメッセージを解読し、そこに記された内容が、人類の科学では到底及ばぬような物体の設計図とその具体的な製造指示書である事を発見する。
人類とは異なる思考をする異星人が発した電波信号を解読し、異星人とのコンタクトを図るまでの過程が丁寧かつリアルに描かれています。
それと平行して、宇宙と人間の在り方について考え続けてきた主人公の女性天文学者の幼い頃からの成長の軌跡が描かれていて、そんな彼女が異星人とのファースト・コンタクトを果たす場面に、神秘的とも哲学的とも言える重々しさを感じます。
大宇宙を舞台にして、生命や人間の存在を考えさせる実に壮大で上質なSF小説です。
絶版なのが残念ですね。