クリストファー・プリースト「魔法」☆☆

魔法

爆弾テロに巻き込まれて記憶を失った報道カメラマン・グレイの前に、かつて恋人だったという女性スーザンが現れた。

テロから遡る数週間の失われた記憶の中に、この美しい女性との出会いと別れが有ったらしいが、グレイには彼女の記憶がない。

スーザンと出会って事で記憶を取り戻す意欲を持ち始めたグレイは、徐々に南フランスへの旅の間に起きた、二人の出会いの記憶を取り戻していくのだが・・・。


記憶とか認識とかの果たす役割というのは、どういったものでしょうか。

今自分が覚えている記憶、目に見えている事柄は、果たして本当に存在しているのでしょうか。

SF小説の中では古典的とも言える命題を描いた作品だと思いますが、どうやらそれだけではない様子で、結局「わたし」は一体誰?というような疑問が残ります。

なかなか興味深い展開をする作品で面白い事は面白かったのですが、「魔法」というタイトル通りに少々難解なところがあります。

作品の解釈に頭を捻るような娯楽作品は、あまり管理人の好みではないんですよね。

クロウト好みの作品という気がします。


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