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エドガー・ライス・バローズ「火星のプリンセス」の感想です。

エドガー・ライス・バローズ「火星のプリンセス」☆☆☆

火星のプリンセス

元南軍騎兵大尉のジョン・カーターは、アリゾナの曰く有りげな洞窟で横になっていた時に、突然金縛りにあったような状態で火星に飛んでいってしまう。

荒れ果てた火星の地に裸で降り立ったジョン・カーターを捕らえたのは、四本腕の獰猛な緑色人サーク族だった。

一時は囚われの身となったものの、重力の弱い火星でジョン・カーターは超人的な力を発揮し、名誉と力を尊ぶサーク族に客人扱いを受けるようになる。

ジョン・カーターがサーク族と暮らし、彼らの言葉を秘かに覚えた頃、サーク族の領内を飛行船が飛来する。

飛行船は緑色人と対立している地球人と変わらぬ姿の赤色人の王国ヘリウムの船で、サーク族に襲撃され墜落したその飛行船から捕虜として囚われたのは、ヘリウムの王女で絶世の美女デジャー・ソリスだった。

サーク族から侮蔑されるデジャー・ソリスを義憤にかられて救ったジョン・カーターだったが、彼の騎士道に溢れた行動は戦乱に明け暮れる火星では誤解を招き、デジャー・ソリスはジョン・カーターに侮りを受けたと勘違いしてしまう。


1912年に発表された冒険SF小説の不朽の名作です。創元推理文庫で全11巻となる火星シリーズを管理人は何度読み直した事か・・・。

ジョン・カーターの一人称で語られる古典的な冒険譚ですが、自由奔放な想像力で生み出された火星の魅力は何とも言えない風情があります。

地球よりも発達した科学力があり、光線銃などの武器があるにも関わらず、名誉を重んじる火星の戦士たちは剣を武器として戦います。

ご都合主義が際立つ作品ですが、細かいことには拘らずに物語が進んでいくためリズムと迫力があります。

英雄ジョン・カーターは正々堂々として雄々しく頼もしく、絶世の美女デジャー・ソリスは王女さまオーラをまき散らす勇敢で貞淑なヒロインです。

そんな二人のロマンスには幾つか障害が発生しますが、二人は障害を乗り越えて深く結ばれていく。

こういうところが如何にも安易な冒険小説っぽいのですけど、そこが又実に魅力的だったりします。

単純で予定調和の王道を行く冒険小説ですが、中学生だった管理人が夢中になって読んだシリーズ作品です。

あの頃は本当に良い時代で幸せでしたね。