吉川英治文庫賞受賞作
吉川英治文庫賞は、財団法人吉川英治国民文化振興会が主催する吉川英治文学賞・吉川英治文化賞が平成28年(2016年)に第50回を迎えるのを機に新たに創設された大衆文学を対象とする文学賞です。
毎年12月1日から翌年11月30日までに最新刊が文庫として刊行された作品で、5巻以上続いたシリーズ大衆小説が対象となります。
以下は受賞作の一覧です。
第9回(2024年)
阿部智里 : 八咫烏シリーズ
人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。朝廷での権力争いに激しくしのぎを削る四家の大貴族から差し遣わされた四人の姫君。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれの魅力を誇る四人は、世継ぎの座を巡る陰謀から若君への恋心まで様々な思惑を胸に后の座を競い合うが、肝心の若宮が一向に現れないまま、次々と事件が起こる。侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者……。峻嶮な岩山に贅を尽くして建てられた館、馬ならぬ大烏に曳かれて車は空を飛び、四季折々の花鳥風月よりなお美しい衣裳をまとう。そんな美しく華やかな宮廷生活の水面下で若宮の来訪を妨害し、后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか? 若宮に選ばれるのはいったい誰なのか? あふれだすイマジネーションと意外な結末――驚嘆必至の大型新人登場!
(「内容紹介」より)
第8回(2023年)
上橋菜穂子 : 守り人シリーズ
老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。
(「内容紹介」より)
第7回(2022年)
上田秀人 : 百万石の留守居役シリーズ- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆☆
外様第一の加賀藩。筆頭家老の本多政長は大名をしのぐ五万石を誇る。幕府の実権は、病弱な四代将軍家綱に代わり、大老酒井忠勝らが握っていた。権勢維持と御家騒動誘発を狙い、酒井はなんと外様の加賀藩主綱紀に次期将軍の白羽の矢を当てる。藩論は真っ二つ。混乱の中、江戸藩邸に向かうことになった藩士瀬能数馬は、本多政長に見込まれ、五万石の姫君琴姫を娶ることに。
(「内容紹介」より)
第6回(2021年)
今村翔吾 : 羽州ぼろ鳶組シリーズ
かつて、江戸随一と呼ばれた武家火消がいた。その名は、松永源吾。別名、「火喰鳥」――。しかし、五年前の火事が原因で、今は妻の深雪と貧乏浪人暮らし。そんな彼の元に出羽新庄藩から突然仕官の誘いが。壊滅した藩の火消組織を再建してほしいという。「ぼろ鳶」と揶揄される火消たちを率い、源吾は昔の輝きを取り戻すことができるのか。興奮必至、迫力の時代小説。
(「内容紹介」より)
第5回(2020年)
小野不由美 : 十二国記シリーズ- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆
どこにも、僕のいる場所はない──教育実習のため母校に戻った広瀬は、高里という生徒が気に掛かる。周囲に馴染まぬ姿が過ぎし日の自分に重なった。彼を虐(いじ)めた者が不慮の事故に遭うため、「高里は祟(たた)る」と恐れられていたが、彼を取り巻く謎は、“神隠し”を体験したことに関わっているのか。広瀬が庇おうとするなか、更なる惨劇が。心に潜む暗部が繙(ひもと)かれる、「十二国記」戦慄の序章。
(「BOOK」データベースより)
第4回(2019年)
西村京太郎 : 十津川警部シリーズ
深夜の自動車事故。犠牲者は、ヨットによる単独無寄港世界一周に成功し、一躍英雄となった内田洋一だった。遺体の毒物反応から、殺人事件と判明。警部補・十津川の前に次々と浮上しては消える容疑者たち……最後に真犯人と見込んだ人物には、鉄壁のアリバイがあった! 東京―タヒチ間のヨットレースを舞台に繰り広げられる雄大なトリックに、十津川が挑む!
(「内容紹介」より)
第3回(2018年)
有栖川有栖 : 火村英生シリーズ
密室の巨匠が殺された 自らのトリックで――!? 日本のディクスン・カーと称され、45に及ぶ密室トリックを発表してきた推理小説の大家、真壁聖一。クリスマス、北軽井沢にある彼の別荘に招待された客たちは、作家の無残な姿を目の当たりにする。彼は自らの46番目のトリックで殺されたのか――。火村&有栖川シリーズ第1作! TVドラマ「臨床犯罪学者 火村英生の推理」でも話題の傑作シリーズ。
(「内容紹介」より)
第2回(2017年)
今野敏 : 隠蔽捜査シリーズ- 再読度 ☆☆☆:読後感 ☆☆☆
警察庁長官官房総務課長の竜崎伸也は東大法学部卒のエリート・キャリアで、警察のマスコミ対策を一手に担っている。ある日、過去に重大な殺人事件を起こしながら、犯行当時未成年だったために重罰とされなかった暴力団員とその共犯者が殺害された。司法の代わりに刑を執行したような事件にマスコミは沸き立ち、竜崎もコメントを求められる。しかし事件の犯人として現職警察官が浮かび上がると、警察上層部はその事実をもみ消そうと工作を始め、情報を公開すべきだと主張する竜崎と対立する。そんな中、竜崎は息子・邦彦が薬物を使用していることを知って自分の進退に悩む。果たして竜崎はこの事態をどう収めていくのか・・・。第27回吉川英治文学新人賞受賞の警察小説の傑作。
第1回(2016年)
畠中恵 : しゃばけシリーズ- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆☆
江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う……。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。
(「内容紹介」より)