星雲賞日本長編部門受賞作
星雲賞は前年度中に発表又は完結したSF作品を対象として、日本SF大会の参加者の投票によって選ばれる文学賞です。
複数の部門に分かれていますが、以下は日本長編部門を受賞した作品一覧です。
第54回(2023年)
長谷敏司 : プロトコル・オブ・ヒューマニティ
伝説の舞踏家である父の存在を追って、身体表現の最前線を志向するコンテンポラリーダンサーの護堂恒明は、不慮の事故によって右足を失い、AI制御の義足を身につけることになる。絶望のなか、義足を通して自らの肉体を掘り下げる恒明は、やがて友人の谷口が主宰するダンスカンパニーに参加、人のダンスとロボットのダンスを分ける人間性の【手続き/プロトコル】を表現しようとするが、待ち受けていたのは新たな地獄だったーー。SF史上もっとも卑近で、もっとも痛切なファーストコンタクト。『あなたのための物語』「allo, toi, toi」『BEATLESS』を超える、10年ぶりの最高傑作。
(「内容紹介」より)
第53回(2022年)
牧野圭祐 : 月とライカと吸血姫
人類史上初の宇宙飛行士は、吸血鬼の少女だった――。いまだ有人宇宙飛行が成功していなかった時代。共和国の最高指導者は、ロケットで人間を軌道上に送り込む計画を発令。『連合王国よりも先に、人類を宇宙へ到達させよ!』と息巻いていた。その裏では、共和国の雪原の果て、秘密都市<ライカ44>において、ロケットの実験飛行に人間の身代わりとして吸血鬼を使う『ノスフェラトゥ計画』が進行していた。とある事件をきっかけに、宇宙飛行士候補生<落第>を押されかけていたレフ・レプス中尉。彼は、ひょんなことから実験台に選ばれた吸血鬼の少女、イリナ・ルミネスクの監視係を命じられる。厳しい訓練。失敗続きの実験。本当に人類は宇宙にたどり着けるのか。チームがそんな空気に包まれた。「誰よりも先に、私は宇宙を旅するの。誰も行ったことのないあの宇宙から月を見てみたいの」イリナの確かな想い。彼らの胸にあるのは、宇宙への純粋な憧れ。上層部のエゴや時代の波に翻弄されながらも、命を懸けて遥か宇宙を目指す彼らがそこにはいた。宇宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女が紡ぐ、宙と青春のコスモノーツグラフィティがここに。
(「内容紹介」より)
第52回(2021年)
林譲治 : 星系出雲の兵站
人類の播種船により植民された五星系文明。辺境の壱岐星系で人類外の産物らしき無人衛星が発見された。非常事態に出雲星系を根拠地とするコンソーシアム艦隊は、参謀本部の水神魁吾、軍務局の火伏礼二両大佐の壱岐派遣を決定、内政介入を企図する。壱岐政府筆頭執政官のタオ迫水はそれに対抗し、主権確保に奔走する。双方の政治的・軍事的思惑が入り乱れるなか、衛星の正体が判明する――新ミリタリーSFシリーズ開幕。
(「内容紹介」より)
第51回(2020年)
小川一水 : 天冥の標
西暦2803年、植民星メニー・メニー・シープは入植300周年を迎えようとしていた。しかし臨時総督のユレイン三世は、地中深くに眠る植民船シェパード号の発電炉不調を理由に、植民地全域に配電制限などの弾圧を加えつつあった。そんな状況下、セナーセー市の医師カドムは、《海の一統》のアクリラから緊急の要請を受ける。街に謎の疫病が蔓延しているというのだが……小川一水が満を持して放つ全10巻の新シリーズ開幕篇。
(「内容紹介」より)
第50回(2019年)
飛浩隆 : 零號琴
第49回(2018年)
宮内悠介 : あとは野となれ大和撫子
第48回(2017年)
小林泰三 : ウルトラマンF
第47回(2016年)
梶尾真治 : 怨讐星域
第46回(2015年)
藤井太洋 : オービタル・クラウド
2020年、流れ星の発生を予測するWebサイト〈メテオ・ニュース〉を運営する木村和海は、イランが打ち上げたロケットブースターの2段目〈サフィール3〉が、大気圏内に落下することなく、逆に高度を上げていることに気づく。シェアオフィス仲間である天才的ITエンジニア沼田明利の協力を得て、〈サフィール3〉のデータを解析する和海は、世界を揺るがすスペーステロ計画に巻き込まれて――日本SF大賞受賞の傑作長篇
(「内容紹介」より)
第45回(2014年)
小川一水 : コロロギ岳から木星トロヤへ
第44回(2013年)
円城塔、伊藤計劃 : 屍者の帝国
屍者化の技術が全世界に拡散した19世紀末、英国秘密諜報員ワトソンの冒険が始まる。未完の絶筆を円城塔が完成させた超話題作。
(「内容紹介」より)
第43回(2012年)
小林泰三 : 天獄と地国
第42回(2011年)
山本弘 : 去年はいい年になるだろう
第41回(2010年)
栗本薫 : グイン・サーガ
中原の由緒正しき王国パロは、新興モンゴールの侵略の前に一夜にして滅び去った。王家の血をひくリンダとレムスの双子の姉弟は、ある力によって妖魔の跳梁する辺境の森に逃れた。だが追手の厳しい追及は、たちまち3人を窮地に追い込む。そのとき忽然とあらわれた豹頭人身の怪人・グインが二人を救い出すのだった! 壮大な構想のもとに繰り広げられる絢爛たるドラマの開幕!
(「内容紹介」より)
第40回(2009年)
伊藤計劃 : ハーモニー
21世紀後半、〈大災禍〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は見せかけの優しさと倫理が支配する“ユートピア”を築いていた。そんな社会に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した……。 それから13年後。死ねなかった少女・霧慧トァンは、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、ただひとり死んだはずだった友人の影を見る――『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。日本SF大賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第39回(2008年)
有川浩 : 図書館戦争- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆
2019年。公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる『メディア良化法』の成立から30年。日本はメディア良化委員会と図書隊が抗争を繰り広げていた。笠原郁は、図書特殊部隊に配属されるが……。
(「内容紹介」より)
第38回(2007年)
小松左京、谷甲州 : 日本沈没・第二部
空前のベストセラー『日本沈没』の発表から33年、著者・小松左京氏がどうしても書きたかった「列島沈没後」の日本人の姿。国土を失った人々はパプアニューギニアや中央アジアなど世界各地に入植、それでも政府機能だけはオーストラリアで維持されていた。国家の再興をかけ政府が取り組む2つの巨大プロジェクト。日本海に人工の陸地を建設するメガフロート構想とあらゆる気象データをスーパーコンピュータで解析して未来を予測する地球シミュレータ。日本人が自らのアイデンティーを確立しようとする矢先、世界を震撼させる驚愕の事実が明らかになる。
(「内容紹介」より)
第37回(2006年)
新城カズマ : サマー/タイム/トラベラー
第36回(2005年)
笹本祐一 : ARIEL
第35回(2004年)
小川一水 : 第六大陸
第34回(2003年)
野尻抱介 : 太陽の簒奪者
第33回(2002年)
野尻抱介 : ふわふわの泉
第32回(2001年)
菅浩江 : 永遠の森 博物館惑星
全世界の芸術品が収められた衛星軌道上の巨大博物館〈アフロディーテ〉。そこでは、データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、日々搬入されるいわく付きの物品に対処するなかで、芸術にこめられた人びとの想いに触れていた。切なさの名手が描く美をめぐる9つの物語
(「内容紹介」より)
第31回(2000年)
神林長平 : グッドラック、戦闘妖精・雪風
第30回(1999年)
笹本祐一 : 彗星狩り
第29回(1998年)
神林長平 : 敵は海賊・A級の敵
第28回(1997年)
森岡浩之 : 星界の紋章- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆
惑星マーティンの平和は突如襲来した宇宙艦隊によって破られた。侵略者はアーヴ、遺伝子改造によって宇宙空間に適応した人類の子孫だという。彼らの強大な軍事力の前に全面降伏の道を選んだ惑星政府主席の決断は、その息子ジントの将来を大きく変えた! SFマインドたっぷりに描くスペース・オペラ大作開幕篇
(「内容紹介」より)
第27回(1996年)
眉村卓 : 引き潮のとき
第26回(1995年)
山田正紀 : 機神兵団
第25回(1994年)
谷甲州 : 終わりなき索敵
第24回(1993年)
柾悟郎 : ヴィーナス・シティ
第23回(1992年)
菅浩江 : メルサスの少年
第22回(1991年)
大原まり子 : ハイブリッド・チャイルド
第21回(1990年)
夢枕獏 : 上弦の月を喰べる獅子
あらゆるものを螺旋として捉え、それを集め求める螺旋蒐集家は、新宿のとあるビルに、現実には存在しない螺旋階段を幻視した。肺を病む岩手の詩人は、北上高地の斜面に、彼にしか見えない巨大なオウム貝の幻を見た。それぞれの螺旋にひきこまれたふたりは、混沌の中でおのれの修羅と対峙する……ベストセラー作家、夢枕獏が仏教の宇宙観をもとに進化と宇宙の謎を解き明かした空前絶後の物語。第10回日本SF大賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第20回(1989年)
堀晃 : バビロニア・ウェーブ
第19回(1988年)
田中芳樹 : 銀河英雄伝説
第18回(1987年)
神林長平 : プリズム
第17回(1986年)
高千穂遙 : ダーティペアの大逆転
第16回(1985年)
神林長平 : 戦闘妖精・雪風
第15回(1984年)
神林長平 : 敵は海賊・海賊版
第14回(1983年)
小松左京 : さよならジュピター
第13回(1982年)
井上ひさし : 吉里吉里人
ある六月上旬の早朝、上野発青森行急行「十和田3号」を一ノ関近くの赤壁で緊急停車させた男たちがいた。「あんだ旅券ば持って居だが」。実にこの日午前六時、東北の一寒村吉里吉里国は突如日本からの分離独立を宣言したのだった。政治に、経済に、農業に医学に言語に……大国日本のかかえる問題を鮮やかに撃つおかしくも感動的な新国家。日本SF大賞、読売文学賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第12回(1981年)
川又千秋 : 火星人先史
第11回(1980年)
山田正紀 : 宝石泥棒
第10回(1979年)
眉村卓 : 消滅の光輪
植民星ラクザーンでは、人類と瓜二つの穏和な先住民と、地球人入植者とが平和裡に共存し発展を謳歌していた。だがその恒星系の太陽が、遠からず新星化する。数年内に惑星のすべての住民を待避させよ――。新任司政官マセ・PPKA4・ユキオはロボット官僚を率い、この空前ともいえる任務に着手するが。緻密な設定のもと周到なオペレーションを描きあげ、《司政官》シリーズの最高作にして眉村本格SFの代表作と謳われる傑作巨編。
(「内容紹介」より)
第9回(1978年)
山田正紀 : 地球・精神分析記録(エルド・アナリュシス)
第8回(1977年)
かんべむさし : サイコロ特攻隊
第7回(1976年)
筒井康隆 : 七瀬ふたたび
生れながらに人の心を読むことができる超能力者、美しきテレパス火田七瀬は、人に超能力者だと悟られるのを恐れて、お手伝いの仕事をやめ、旅に出る。その夜汽車の中で、生れてはじめて、同じテレパシーの能力を持った子供ノリオと出会う。その後、次々と異なる超能力の持主とめぐり会った七瀬は、彼らと共に、超能力者を抹殺しようとたくらむ暗黒組織と、血みどろの死闘を展開する。
(「内容紹介」より)
第6回(1975年)
筒井康隆 : おれの血は他人の血- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆
第5回(1974年)
小松左京 : 日本沈没
伊豆諸島・鳥島の東北東で一夜にして小島が海中に没した。現場調査に急行した深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は、地球物理学の権威・田所博士とともに日本海溝の底で起きている深刻な異変に気づく。折から日本各地で大地震や火山の噴火が続発。日本列島に驚くべき事態が起こりつつあるという田所博士の警告を受け、政府も極秘プロジェクトをスタートさせ、日本人を全員海外へ移住させるべく、極秘裏に世界各国との交渉に入った。小野寺も姿を隠して、計画に参加するが、関東地方を未曾有の大地震が襲い、東京は壊滅状態となってしまう。そして日本沈没の日は予想外に早くやってきた。日本人は生き残れるのか。全国民必読。
(「内容紹介」より)
第4回(1973年)
広瀬正 : 鏡の国のアリス- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆
銭湯の湯舟に浸かりゆったりとくつろいでいた青年・木崎浩一は、ふと気がつくといつの間にか女湯に入っていた。なんとか銭湯から出た浩一だが、どうも街の様子が今までと違って見える。時計は左回りで目に見える文字は鏡文字。なぜか浩一は左右が入れ替わった世界に入ってしまったらしい。住むところもなくした浩一は、科学評論家の朝比奈六郎の世話になるが・・・。広瀬正らしい細部にこだわった遊び心満載のルイス・キャロル「鏡の国のアリス」へのオマージュとなるSF小説。
第3回(1972年)
半村良 : 石の血脈- 再読度 ☆☆☆:読後感 ☆☆☆
若き建築家隅田賢也は、突然失踪した美しく貞淑な妻・比沙子を探して夜の街をさまよううちに、チャイナドレスを身にまとった比沙子が見知らぬ男に抱かれている現場を目撃した。貞淑な妻がなぜ?彼女の失踪の謎を探る賢也はいつしか底しれぬ怪奇な世界に巻き込まれていく。吸血鬼伝説、人狼伝説、アトランティス、ドルメンの巨石信仰、更にイスラムの暗殺教団まで交えて進行するすごい伝奇小説の傑作。