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日本歴史時代作家協会賞を受賞した作品の一覧です。

日本歴史時代作家協会賞受賞作

日本歴史時代作家協会賞は、2011年4月に歴史・時代小説の隆盛と育成を目的に発足した歴史時代作家クラブ(現在は日本歴史時代作家協会)が主催する、歴史・時代文学の発展と才能の発掘を目的として創設された文学賞です。
発足当初は歴史時代作家クラブ賞となっていましたが、2019年に主催が日本歴史時代作家協会に変わったことにより賞の名称が日本歴史時代作家協会賞に変更されました。
新人賞、文庫書き下ろし新人賞、文庫書き下ろしシリーズ賞、功労賞、作品賞などに分かれていますが、以下は作品賞を受賞した作品一覧です。

第13回(2024年)

赤神諒 : 佐渡絢爛

    時は元禄。金銀産出の激減に苦しむ佐渡で、立て続けに怪事件が起こった。御金蔵(おかねぐら)から消えた千両箱、三六名が命を落とした落盤事故、能舞台で磔(はりつけ)にされた斬死体、割戸から吊り下げられた遺体…。いずれの事件現場にも血まみれの能面「大?見(おおべしみ)」が残されていた。振矩師(ふりがねし)の静野与右衛門は、奉行から広間役(ひろまやく)の間瀬吉太夫の助手として、事件の真相解明を命ぜられる。吉太夫に反発しながら、調べを進めるうち、その才覚と人物、謎めいた過去に強く惹かれてゆくがーー。佐渡金銀山に隠された恐るべき秘密とは?! 能面の謎を解いたとき、天下を揺るがす驚愕の真相が明らかになる!
    (「内容紹介」より)

    第12回(2023年)

    村木嵐 : まいまいつぶろ
    • 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆

    口がまわらず、誰にも言葉が届かない。歩いた後には尿を引きずった跡が残るため、まいまいつぶろ(カタツムリ)と呼ばれ蔑まれた君主がいた。常に側に控えるのは、ただ一人、彼の言葉を解する何の後ろ盾もない小姓・兵庫。だが、兵庫の口を経て伝わる声は本当に主のものなのか。将軍の座は優秀な弟が継ぐべきではないか。疑義を抱く老中らの企みが、二人を襲う。麻痺を抱え廃嫡を噂されていた若君は、いかにして将軍になったのか。
    (「内容紹介」より)

    第12回(2023年)

    上田早夕里 : 上海灯蛾

      1934年上海。「魔都」と呼ばれるほど繁栄と悪徳を誇ったこの地に成功を夢見て渡ってきた日本人の青年・吾郷次郎。彼の許を謎めいた日本人女性が訪ねる。ユキヱと名乗るその女が持ちこんだのは、熱河省産の極上の阿片と芥子の種。次郎は阿片の売買を通じて上海の裏社会を支配する青幇の知己を得て、上海の裏社会に深く踏み入っていく。栄光か。破滅か。夜に生きる男たちを描いた、上海ピカレスク。
      (「内容紹介」より)

      第11回(2022年)

      吉川永青 : 高く翔べ 快商・紀伊国屋文左衛門

        時は元禄。文吉は、幼い頃に巨大な廻船に憧れたことをきっかけに、故郷の紀州で商人を志す。だが許嫁の死をきっかけに、彼は「ひとつの悔いも残さず生きる」ため、身を立てんと江戸を目指す――。蜜柑の商いで故郷を飢饉から救い、莫大な富を得ながらも、一代で店を閉じた謎多き人物、紀伊國屋文左衛門。天才商人の生き様に迫る痛快作。
        (「内容紹介」より)

        第11回(2022年)

        矢野隆 : 琉球建国記

          15世紀、琉球王国。勝連半島の無頼漢の赤や氷角たちと役人の加那は、立場を超えて仲間となり、民衆に悪政を強いる勝連城主を倒した。新たな按司となった阿麻和利(加那)は、活発な交易で繁栄をもたらす。一方、王位を巡る内乱を経て国王となった尚泰久と側近の金丸は、彼らの活躍に脅威を感じ、失脚させるための計略をめぐらす。琉球王朝の興亡を再構築し、それぞれの熱い生きざまを描く長編。
          (「内容紹介」より)

          第10回(2021年)

          武川佑 : 千里をゆけ くじ引き将軍と隻腕女

            峠で茶屋の給仕をする娘・小鼓は、ある日すべてを失うことになる。都から来た高僧・青蓮院義圓(のちの義教)が、故郷坂本の町を焼き払ったのだ。義圓は小鼓の父を追って、坂本までやってきたらしい。なぜしがない足軽にすぎない父の命が狙われるのか? しかも父は「良兼」という小鼓の知らぬ名前で呼ばれていた。義圓が父に向って刀を振り下ろす寸前、小鼓は父の前に飛び出した――。その後の意識は小鼓にはない。目を覚ました小鼓は、左の肩から先を失っていた。あのとき腕を切り落とされてしまったのだ。なぜ私が腕を失わなければならなかったのか? 父親は何者なのか? この腕でどうやって生きていけばいいのか。小鼓は、突如としてこの世の理不尽の渦に巻き込まれることになる。だが、途方に暮れる小鼓が生き残る道を探る中で、父に手ほどきされた軍略の才能が自らにあることに気づく。そうだ、誰も助けてくれないのなら、私は与えられたこの「力」で私を助ける!小鼓は自らの力で戦場を渡り歩きながら父の謎を追い、そしてその謎の解明が、義圓への復讐心を育てていく……。
            (「内容紹介」より)

            第9回(2020年)

            木下昌輝 : まむし三代記

              弘治二年(一五五六)、四月二十日――国さえもたやすく滅ぼしてしまうものが、大量に発見された。美濃の地においてである。奇しくも、この日、ひとりの男が討たれた。まむしと恐れられた斎藤道三である。国を滅しかねないものを集め、秘蔵した張本人だ。より正確を期すなら、道三とその父親である。道三の父親は美濃へわたり、異例の出世をとげる。無論のこと、その影には国を滅ぼしかねない凶器の存在があった。道三と法蓮房の親子二代の国盗りに、この凶器が暗躍する。いつしか、道三と法蓮房らは凶器のことをこう呼ぶようになった。国滅ぼし――と。
              (「内容紹介」より)

              第8回(2019年)

              篠綾子 : 青山に在り

                学問と剣術、いずれにも長けた川越藩国家老の息子、小河原左京。彼はある日、城下の村にある道場で自分と瓜二つな農民の少年、時蔵に出会う。一度は互いの出自を疑うが、次第に身分の差を超えた友情を育み、平穏な青春を過ごす2人。しかし世間は世直し一揆や農兵の導入に揺れ、激動の時代を迎えつつあった。そんな中ある武士が2人の眼前に現れ、彼らの出自を疑い、その姿を執拗に追うようになる。彼の狙いはいったい何なのか――。美しい川越を舞台に、幕末の人々の生き様を鮮やかに描き出した傑作時代長編。
                (「内容紹介」より)

                第8回(2019年)

                天野純希 : 雑賀のいくさ姫

                  織田信長が畿内を席巻しはじめた戦国末期。イスパニアのイダルゴ(騎士)の家系に生まれたジョアンは、内紛と難波のはてに、紀州雑賀の姫、鶴に拾われる。鶴はカラベル船を修復した「戦姫丸」に乗って商いのために南洋に向かうが、海賊や大大名の思惑、そして自らの過去に巻き込まれていく。雑賀、村上、毛利、大友、島津――戦国の西国大名オールスター水軍が、日本を狙う大海賊と雌雄を決する一大海戦を描いた歴史海洋小説の傑作
                  (「内容紹介」より)

                  第7回(2018年)

                  谷津矢車 : おもちゃ絵芳藤

                    文久元年(1861)春。大絵師・歌川国芳が死んだ。国芳の弟子である芳藤は、国芳の娘たちに代わって葬儀を取り仕切ることになり、弟弟子の月岡芳年、落合芳幾、かつては一門だった河鍋狂斎(暁斎)に手伝わせ無事に葬儀を済ませた。そこへ馴染みの版元・樋口屋がやってきて、国芳の追善絵を企画するから、絵師を誰にするかは一門で決めてくれ、と言われる。若頭のような立場の芳藤が引き受けるべきだと樋口屋は口を添えたが、暁斎に「あんたの絵には華がない」と言われ、愕然とする――。
                    (「内容紹介」より)

                    第7回(2018年)

                    浮穴みみ : 鳳凰の船

                      明治初期の函館。洋船造りの名匠と謳われたものの、いまや仏壇師としてひっそり暮らす続豊治。だが若き船大工との邂逅により、再び奮い立つ/表題作。初代北海道庁長官・岩村通俊、イギリス人貿易商・ブラキストンなど、北海道開拓史に名を刻んだ者たちの逡巡や悔恨、決意を叙情豊かに描きあげた五編。第7回歴史時代作家クラブ賞受賞作。
                      (「内容紹介」より)

                      第6回(2017年)

                      荒山徹 : 白村江

                        六六〇年、唐・新羅連合軍によって百済は滅亡、王とその一族は長安に送られた。遺された王族は倭国へ亡命していた豊璋ただ一人――。新羅の金春秋、高句麗の泉蓋蘇文、倭の蘇我入鹿、葛城皇子(のちの天智天皇)……各国の思惑は入り乱れ、東アジアは激動の時代を迎える。大化の改新、朝鮮半島の動乱、そして白村江の戦いへと連なる歴史の裏でうごめいていた陰謀とは。圧倒的スケールで描かれた感動必至の長編小説。
                        (「内容紹介」より)

                        第5回(2016年)

                        澤田瞳子 : 若冲

                          商売にはまったく身が入らず、絵を描くことに打ち込む源左衛門(若き日の若冲)。 一方、義弟・弁蔵は姉をいびり殺した枡源の人々と、そもそも胸の裡をはっきりさせない若冲に憎しみを隠さない。 しかしそれに構わず、若冲は妹の志乃と弁蔵を縁組させ、家を継がせようと言い出す。 それに怒り狂った弁蔵は、若冲が妻を亡くして以来描き続けた絵を見て驚愕するのだった。 以降、絵の道にますます入りこんでいく若冲と、彼を憎むあまり贋作を生み出すようになった弁蔵。 二人の奇妙な関係は若冲の名声が高まるにつれ、より複雑になっていく。 池大雅、与謝蕪村、円山応挙ら当時の京画壇、王政復古が望まれつつあった政治的状況も織り込みつつ、若冲が生み出していった作品の深層にせまった意欲作。
                          (「内容紹介」より)

                          第5回(2016年)

                          梶よう子 : ヨイ豊

                            元治2年(1865)如月、清太郎の師匠で、義父でもある三代豊国の七七日法要が営まれる。三代は当代きっての花形絵師。歌川広重、歌川国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた。すでに広重、国芳を亡くし、歌川の大看板・豊国が亡くなったいま、誰が歌川を率いるのか。版元や絵師、公演者たちなど集まった弔問客たちの関心はそのことに集中した。清太郎には義弟の久太郎と、弟弟子の八十八がいた。久太郎は清太郎と同じく、門人から婿養子なった弟弟子。そして八十八は、清太郎より歳が一回りも下の弟弟子。粗野で童のような男だが、才能にあふれている。八十八が弟子入りしてすぐに三代はその才能を認め、挿絵を大抜擢で任せたりしたものだ。かたや清太郎が三代に褒められたのは、生真面目さしか覚えがない。その上、版元たちからは、三代の通り名「大坊主」を文字って、「小坊主」と呼ばれる始末。いったい、誰が「豊国」を継げようものか。清太郎は、苦い振る舞い酒を口へ運んだ──。黒船騒ぎから12年が経ち、京の都には尊王攘夷の嵐。将軍さまは京に行ったきりと、徳川の世は翳りはじめていた。時代のうねりの中で、絵師たちは何を見、何を描き、何を残そうとしたのか!
                            (「内容紹介」より)

                            第4回(2015年)

                            宮本昌孝 : 乱丸

                              猛将・森三左衛門の三男として美濃・金山城に生をうけた森乱丸。それは織田信長が天下布武を決意した年のことだった。やがて才気溢れる若者に成長した乱丸は、天下人を目指す信長の側近くに小姓として侍ることになる。魔王の覇道を共に歩む近習衆、そして名だたる戦国武将たち。美しき若武者の目に映じた彼らの姿と心の裡とは……。主君の大望を果たすため、乱丸は自らの命を賭ける!
                              (「内容紹介」より)

                              第4回(2015年)

                              中島京子 : かたづの!
                              • 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆

                              八戸南部氏の姫・祢々の江戸時代で唯一の女大名として生きてきた波乱万丈の生涯を、一本角の羚羊=片角(かたづの)の目を通して描いた歴史小説。

                              第3回(2014年)

                              梓澤要 : 捨ててこそ空也

                                平安時代半ば、醍醐天皇の皇子ながら寵愛を受けられず、都を出奔した空也。野辺の骸を弔いつつ、市井に生きる聖となった空也は、西国から坂東へ、ひたすら仏の救いと生きる意味を探し求めていく。悪人は救われないのか。救われたい思いも我欲ではないか。「欲も恨みもすべて捨てよ」と説き続けた空也が、最後に母を許したとき奇跡が起きる。親鸞聖人と一遍上人の先駆をなした聖の感動の生涯。
                                (「内容紹介」より)

                                第2回(2013年)

                                帚木蓬生 : 日御子

                                  代々、使譯(通訳)を務める安住一族の子として生まれた針(しん)は、病床の祖父から、那国が漢に使者を遣わして「金印」を授かったときの話を聞く。それは、「倭」の国が歴史に初めてその名を刻んだ出来事。祖父が聞かせてくれる物語に、針は胸震わせ遠い過去に思いを馳せた。それから十数年が経ち、再び漢へ遣いを出すことになった。こんどは針の番だった。伊都国の使譯として正式に任命されたのだ。5隻の船にたくさんの生口(奴隷)を乗せ、漢の都・洛陽へ。──その後「倭国大乱」「邪馬台国」そして「東遷」へと、代々の使譯たちの目を通じて語り伝えられていく日本の歴史。眼前に広がる古代歴史ロマンが、日本人の心を捉えて放さない。
                                  (「内容紹介」より)

                                  第2回(2013年)

                                  伊東潤 : 義烈千秋 天狗党西へ

                                    開国から十年。貿易の激化で北関東の民は困窮していた。水戸藩士・藤田小四郎は、幕政を正し外敵を掃おうと各地に書状を放つ。集まったのは貧しくも真摯に国を想う、若き志士たち。一同は筑波山で挙兵するが、幕府の討伐軍が迫り来る。内部分裂、強大な追手、峻烈な山越え。犠牲を払いながらも、一橋慶喜に志を訴えるべく京を目指し――。理想に燃えた男たちの歩みに涙する、歴史長編。
                                    (「内容紹介」より)

                                    第1回(2012年)

                                    諸田玲子 : 四十八人目の忠臣

                                      恋人の磯貝十郎左右衛門のため討ち入りを助け、本懐後は、赤穂浅野家再興を目指し、将軍家に近づいた実在の女性。浪士と将軍に愛され歴史に名を残した側室を描く新しい忠臣蔵。
                                      (「内容紹介」より)

                                      第1回(2012年)

                                      塚本靑史 : 煬帝

                                        聖徳太子が贈った遣隋使の手紙に激怒したとして、日本でもよく知られる暴君の波乱に満ちた生涯を描いた歴史大作。
                                        (「内容紹介」より)