アーサー・C・クラーク賞受賞作
アーサー・C・クラーク賞(Arthur C. Clarke Award)は、イギリスのSF作家アーサー・C・クラークの寄付に基づいて1987年に発足した、SF長編小説を対象としたイギリスの文学賞です。
前年度にイギリスで発刊された作品の中から、英国SF協会などから選ばれた選考委員会が受賞作を決定します。
以下は受賞作の一覧です。
2024年
(Martin MacInnes)
(In Ascension)
2023年
(Ned Beauman)
(Venomous Lumpsucker)
2022年
(Harry Josephine Giles)
(Deep Wheel Orcadia)
2021年
(Laura Jean McKay)
(The Animals in That Country)
2020年
(Namwali Serpell)
(The Old Drift)
2019年
タデ・トンプソン(Tade Thompson)
(Rosewater)
2018年
アン・チャーノック(Anne Charnock)
(Dreams Before the Start of Time)
2017年
コルソン・ホワイトヘッド(Colson Whitehead)
地下鉄道(The Underground Railroad)
19世紀初頭のアメリカ。南部のジョージア州にある農園での奴隷少女コーラは、ある日、自由な北部を目指して農園から逃亡することを決める。轟々たる音を立てて暗い地下を走る鉄道、〈地下鉄道〉に乗って――。しかし彼女の後を、悪名高い奴隷狩り人リッジウェイが追っていた。
(「内容紹介」より)
2016年
エイドリアン・チャイコフスキー(Adrian Tchaikovsky)
時の子供たち(Children of Time)
地球の終わりを予測した人類は新たなプロジェクトを進めていた。惑星を改造し、地球の生物とその知能強化をうながすナノウイルスを送り込むテラフォーミング計画だ。ドクター・カーンが担当する惑星では、数十世紀後に進化した猿たちが地球の文明を引き継ぐはずだった。だが、その計画を人類への冒?だと考える過激派の妨害により、カーンのプロジェクトは失敗してしまう。辛くも難を逃れたカーンは、いつか地球から救援隊が来ることを願い、救援信号を送りながら監視ポッドで人工冬眠に入る。妨害工作により全滅した猿たちのかわりに、ナノウイルスが進化させる宿主として選んだのは蜘蛛だった。蜘蛛たちは狩猟の腕を上げ、言語を覚え、共同体を作り、文明を発展させてゆく。天の光を仰ぎ見ながら――。2016年度アーサー・C・クラーク賞受賞作。
(「内容紹介」より)
2015年
エミリー・セントジョン・マンデル(Emily St.John Mandel)
ステーション・イレブン(Station Eleven)
新型インフルエンザ「グルジア風邪」の流行により、人類の99%が死滅し地球の文明が崩壊した。パンデミックの幕開けは、カナダ・トロントの劇場で上演されていた『リア王』の主演俳優アーサーの死で始まる。同じ舞台に立っていた8歳の子役キルステンは、彼の死を目の当たりにする。そしてその20年後。電気もなく廃墟も残るなか、生き残った人々はわずかな食料や資源を繋いで生活していた。そしてキルステンは旅の楽団に入り、ミシガン湖周辺を移動していた。20年前、死の前にアーサーがくれた『ドクター・イレブン』というSF漫画を大切に持ち続けながら。ある日、旅の楽団がセントデボラという町で『真夏の夜の夢』を上演していると、観客の中から不気味な「預言者」が現れる……。アーサーの死までの人生と、文明崩壊後20年目の世界のキルステンの日々が交錯するなか、さまざまな人間模様と『ドクター・イレブン』をめぐる謎が解き明かされる、傑作SFサスペンス。全米図書賞最終候補作
(「内容紹介」より)
2014年
アン・レッキー(Ann Leckie)
叛逆航路(Ancillary Justice)
二千年にわたり宇宙戦艦のAIだったブレクは、自らの人格を四千人の人体に転写した生体兵器〈属躰〉を操り、諸惑星の侵略に携わってきた。だが最後の任務中、陰謀により艦も大切な人も失う。ただ一人の属躰となって生き延びたブレクは復讐を誓い、極寒の辺境惑星に降り立つ……デビュー長編にしてヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞など『ニューロマンサー』を超える英米7冠、本格宇宙SFのニュー・スタンダード登場!
(「内容紹介」より)
2013年
クリス・ベケット(Chris Beckett)
(Dark Eden)
2012年
ジェイン・ロジャーズ(Jane Rogers)
世界を変える日に(The Testament of Jessie Lamb)
人類は滅亡する。でも、わたしの決断で、運命を変えられる。『たったひとつの冴えたやりかた』の純粋さで、『わたしを離さないで』の衝撃を描きだした近未来フィクション
(「内容紹介」より)
2011年
ローレン・ビュークス(Lauren Beukes)
ZOO CITY(Zoo City)
特殊能力を持つ獣を連れた人々が暮らす街、ヨハネスブルグで起こった奇妙な事件とは?
(「内容紹介」より)
2010年
チャイナ・ミエヴィル(China Mieville)
都市と都市(The City and the City)
- 再読度 ☆:読後感 ☆☆
ふたつの都市国家〈ベジェル〉と〈ウル・コーマ〉は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく……。ディック-カフカ的異世界を構築し、SF/ファンタジイ主要各賞を独占した驚愕の小説
(「内容紹介」より)
2009年
イアン・R・マクラウド(Ian R. MacLeod)
(Song of Time)
2008年
リチャード・モーガン(Richard Morgan)
(Black Man)
2007年
M・ジョン・ハリスン(M. John Harrison)
(Nova Swing)
2006年
ジェフ・ライマン(Geoff Ryman)
エア(Air)
2020年、中国、チベット、カザフスタンに国境を接する山岳国家カルジスタンのキズルダー村では、先祖伝来の棚田を耕し、昔から変わらぬ生活を続ける人々が暮らしていた。中国系女性チュン・メイは、そんな村の女性のために、町にでかけてドレスや化粧品を調達し収入を得る“ファッション・エキスパート”だった。 ある日、キズルダー村で、新システム〈エア〉のテスト運用が行なわれることになった。〈エア〉は脳内にネット環境を構築し、個々人の脳から直接アクセスを可能にする新ネットワーク・システムで、一年後の全世界一斉導入が予定されていた。 だが、テストの最中に思わぬ悲劇が起きる。メイの隣人タンおばあさんが、システムの誤作動が原因で事故死してしまったのだ。テスト中、メイは〈エア〉内でタンおばあさんと交感、彼女の全人生を体験する。それ以降、おばあさんの意識はメイの脳内に住みついてしまうが、まるでその代償であるかのように、メイは偶然〈エア〉にアクセス可能なアドレスを取得する。それをきっかけにメイの人生は急転回を見せはじめる。〈エア〉がメイに、そして人類にもたらすものとは……。 SF界を代表する物語作家が、異質なテクノロジーとの出会い、アジアの小村から世界を変えることになるひとりの女性の人生を、ストレートに描いた巨篇。英国SF協会賞/アーサー・C・クラーク賞/ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞受賞。
(「内容紹介」より)
2005年
チャイナ・ミエヴィル(China Mieville)
(Iron Council)
2004年
ニール・スティーヴンスン(Neal Stephenson)
(Quicksilver)
2003年
クリストファー・プリースト(Christopher Priest)
双生児(The Separation)
1999年英国、著名な歴史ノンフィクション作家スチュワート・グラットンのもとに、J・L・ソウヤーなる人物の回顧録原稿が持ちこまれる。第二次大戦中に活躍した英国空軍爆撃機の操縦士でありながら、同時に良心的兵役拒否者だったJ・L・ソウヤーとはいったいどんな人物なのか……。稀代の物語の魔術師が、持てる技巧のすべてを駆使して書き上げた、最も完成された小説。
(「内容紹介」より)
2002年
ギネス・ジョーンズ(Gwyneth Jones)
(Bold as Love)
2001年
チャイナ・ミエヴィル(China Mieville)
ペルディード・ストリート・ステーション(Perdido Street Station)
蒸気機関と魔術学が統べる都市国家ニュー・クロブゾン。中心に巨大駅ペルディード・ストリート・ステーションが聳えるこの暗黒都市で、統一場理論の研究を続ける異端の科学者アイザックは、ある日奇妙な客の訪問を受ける。自ら犯した大罪のため、翼を奪われた〈鳥人〉ヤガレクは、命にも等しい翼の復活をアイザックに依頼するのだった……。現代SF界の旗手が、SF/ファンタジイ・ジャンルの新たな可能性を示した巨篇。
(「内容紹介」より)
2000年
ブルース・スターリング(Bruce Sterling)
(Distraction)
1999年
トリシア・サリバン(Tricia Sullivan)
ドリーミング・イン・スモーク(Dreaming in Smoke)
1998年
メアリ・ドリア・ラッセル(Mary Doria Russell)
(The Sparrow)
1997年
アミタヴ・ゴーシュ(Amitav Ghosh)
カルカッタ染色体(The Calcutta Chromosome)
近未来のニューヨーク。国際水利委員会の目録整理をおこなうアンタールのモニターに現れた古ぼけたIDカード。それは、カルカッタで消息を絶ったかつての同僚ムルガンのものだった。端末でムルガンの足跡を追い、その再現を試みるアンタール。ムルガンがカルカッタで見たものは?マラリア感染のメカニズムに隠されたもう一つの“意味”とは?そして“カルカッタ染色体”とは?過去と現代と未来、インドとニューヨーク―医学史、SF、ミステリの要素を織り交ぜながら、アメリカ屈指のインド系作家が描く壮大な“陰謀”と“歴史”の物語。
(「BOOK」データベースより)
1996年
ポール・J・マコーリイ(Paul J. McAuley)
フェアリイ・ランド(Fairyland)
気候の大変動により水没したアジア・アフリカからの大量の移民で溢れ返る異形の街ロンドン。そこではドールと呼ばれる一種のロボットが市民生活の必需品となっていた。遺伝子ハッカーのアレックスは、ふとしたことから天才美少女ミレーナと知り合う。だが彼女はアレックスにドールを盗ませ、その電子チップを入れ替えて知性を持つフェアリイに変貌させるや姿を消した…自らが女王となるフェアリイ・ランドを造るために。アーサー・C.クラーク賞/ジョン・W・キャンベル記念賞受賞。
(「BOOK」データベースより)
1995年
パット・キャディガン(Pat Cadigan)
(Fools)
1994年
ジェフ・ヌーン(Jeff Noon)
ヴァート(Vurt)
ヴァートとは、新手のドラッグ。効用によって色分けされた羽を口のなかに差し入れて喉奥をなでれば、眼前にヴァート世界が出現する。マンチェスターの片隅でヴァート浸りの日々を送るスクリブルには、呪わしい過去があった。謎の黄羽でトリップし、妹をヴァート世界に置き去りにしてしまったのだ。最愛の妹を取り戻したい一心で、スクリブルは絶望的な探索を続けるが…A・C・クラーク賞に輝く、新鋭の超話題作。95年には最優秀新人賞にあたるジョン・W・キャンベル賞を受賞。
(「BOOK」データベースより)
1993年
マージ・ピアシー(Marge Piercy)
(Body of Glass)
1992年
パット・キャディガン(Pat Cadigan)
(Synners)
1991年
コリン・グリーンランド(Colin Greenland)
(Take Back Plenty)
1990年
ジェフ・ライマン(Geoff Ryman)
(The Child Garden)
1989年
レイチェル・ポラック(Rachel Pollack)
消えない火(Unquenchable Fire)
1988年
ジョージ・ターナー(George Turner)
沈みゆく塔(Drowning Towers)
1987年
マーガレット・アトウッド(Margaret Atwood)
侍女の物語(The Handmaid's Tale)
侍女のオブフレッドは、司令官の子供を産むために支給された道具にすぎなかった。彼女は監視と処刑の恐怖に怯えながらも、禁じられた読み書きや化粧など、女性らしい習慣を捨てきれない。反体制派や再会した親友の存在に勇気づけられ、かつて生き別れた娘に会うため順従を装いながら恋人とともに逃亡の機会をうかがうが…男性優位の近未来社会で虐げられ生と自由を求めてもがく女性を描いた、カナダ総督文学賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)