北原亞以子「再会 - 慶次郎縁側日記」シリーズ ☆☆
慶次郎縁側日記シリーズの第2作目です。「恩返し」「八百屋お七」「花の露」「最良の日」「日々是転寝」「やがてくる日」「お見舞い」「晩秋」「あかり」「再会 一 秘密」「再会 二 卯の花の雨」「再会 三 恋する人達」を収録しています。
こういうシリーズ物特有の心地良さがある作品ですね。
主人公が元八丁堀の同心というのは、事件に関わりが出来るという点で話が作りやすいし、かといって現職の同心でない分人情話にしやすくて、この設定が中々うまく出来ているように思います。
悪意がある人物は今回もあまり登場しません。
不器用な生き方しか出来ない人々や、自分が生きたいように生きてきた結果人と合わなってしまう人などを通して、人生の有り方をさりげなく描いた作品が多いようです。
現代小説だと何となく殺伐としてしまうところを、人と人の繋がりが今よりも密接だった時代を背景にしている分、しみじみとした雰囲気が味わえるところが管理人は好きです。