スティーヴン・ハンター「極大射程」☆☆☆

極大射程

ベトナム戦争で超一流のスナイパーだったボブ・スワガーは、ある出来事から狙撃手としての生活に疲れ果て、近所に誰も住んでいない片田舎で老犬を友に引退生活をおくっていた。

そんなボブの元に新開発された弾丸の試射をして欲しいという依頼が来る。

成り行きから依頼を引受けたボブは、1400ヤードという驚異的な長距離狙撃を成功させるが、実はこの依頼こそはボブを罠にかける大掛かりな陰謀の始まりだった。

果たしてボブは、この巧妙に仕組まれた罠から逃れられることが出来るのか。


全体的なトーンが銃器賛美の様にも受け取れる点が少し気にはなりましたけど、緊迫感が溢れてワクワクしながら楽しめる、2000年度の「このミステリーがすごい!」の第1位となった冒険サスペンス小説の傑作です。

主人公のスナイパーのボブが人間業とは思えない様な大活躍で敵をバッタバッタと倒すあたりは胸がすくし、FBI捜査官のニックの誠実な人柄も管理人が好きなタイプです。

敵も味方もひっくるめて、骨太な男の力と力の対決を描いた物語という印象です。

それにしてもゴルゴ13並のボブの活躍やスピーディーな物語の展開がスゴすぎて、面白いけれども読んでいてくたびれてしまいます。

そうした中で、大活劇に一段落ついてからの裁判の場面が、緊迫感の有るリーガル・サスペンス風の展開を見せてくれて、活劇で高ぶった読者の神経を静めてくれるようです。

最後は思ったような結末で、とても満足しました。


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