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マリオ・プーヅォ「オメルタ - 沈黙の掟」の感想です。

マリオ・プーヅォ「オメルタ - 沈黙の掟」☆☆

オメルタ - 沈黙の掟

平和裡に引退したマフィアのドンの中のドンが、白昼の街中で何者かに射殺された。

かつてはニューヨークの暗黒街を支配した大物なのに、何故か警察とFBIの監視はされていなかった。

堅気に育ちマフィアの文化を持っていない3人の子供たちは復讐などとは考えもしないが、ドンから密かに家業の手ほどきを受けていた甥は、事件の真相を探り始める。


マリオ・プーヅォの作品は、マフィアを描いた小説しか読んだことが有りません。

この小説も、あの名作「ゴッドファーザー」から続く、家族を養う為には法を曲げることも辞さない誇り高き男たちの抗争を描いている点で、基本的に同じ主題を持っています。

しかしながら「ゴッドファーザー」で描かれたマフィアと、この作品でのマフィアとでは、生き方が大きく変化しているようです。

この作品では、貧しさ故に非合法な事に手を染めざるを得なかった人々が、裕福になるにつれて合法的な生活に移っていく時代を描いています。

非合法の世界から合法の世界に移る過程で、今まで手にしていた権益を何とか奪い取ろうとする相手が存在するが、それに立ち向かう為には、汚れ仕事を請け負う人間が必要になる。

確かにマフィアの一部を美化しているという面も有るのでしょうが、過酷な人生を相応のリスクをとって生きていく人々を見事に描いていると思います。

全体的に「ゴッドファーザー」程の深みはありませんが、単純に面白い作品でした。