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浅田次郎 「天切り松 闇がたり1 闇の花道」の感想です。

浅田次郎「天切り松 闇がたり1 闇の花道」☆☆☆

天切り松 闇がたり1 闇の花道

やくざな父親に捨てられた少年松蔵は、9つの時に仕立屋銀次の片腕と言われた盗賊の大立者「抜弁天の安吉」の子分になった。

後に天切り松の二つ名を名乗る松蔵が、平成の今の留置所の中で語る、大正ロマンの花咲く時代に生きた粋な盗賊たちと自らの過去の物語。「天切り松闇がたり」シリーズの第1作目です。

浅田次郎の小説は面白いと分かっていますが、そうは思っていても内容が今ひとつピンと来ないので期待せずに読みましたが、やっぱり面白かった。

激動の時代を生き抜いた松蔵の成長を描いた物語でもありますけど、この第1作目では松蔵はまだ少年で、主な主人公は安吉一家の個性的な面々です。

ここで語られる、盗賊と言えども一本筋を通した男たちの生きざまは誠に見事です。

しかし何と言っても、吉原の花魁になった松蔵の姉おさよの話が泣かせます。

浅田次郎の語り口は流石に平成の泣かせ屋、主に通勤電車の中で読んでいる管理人は、目頭が熱くなってきて実に困りました。

やや大仰な表現が気になる方もいるかもしれませんが、管理人は素直に面白かったですね。