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ウィリアム・ギブスン 「ニューロマンサー」の感想です。

ウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー」☆

ニューロマンサー

他人の意識や夢の中に入り込むという設定のSFはあったかと思いますけど、コンピューター・ネットワーク上の電脳空間とか、その中で存在する知的な存在というのはあまり記憶に無く(ハインラインの月は無慈悲な夜の女王が近いけど)、その電脳空間に入り込む能力を持つ若者たちという設定と、ブレードランナーを連想する少し退廃的な未来社会の描写が斬新だった作品です。

ハッカーを視覚的にして、ネットワーク上に存在する企業情報などを盗み出す事に生きがいを見出しているコンピュータ・カウボーイという人たち。そしてこの物語の主人公はその能力を一度は奪われたケイス。

何故か日本の千葉から始まる物語はスピーディーですけど、管理人が読んだ当時はピンと来ない部分があって少し分かりづらい退屈な作品という印象があります。

ここで描かれる世界観は斬新だけど、物語としては何だか凡庸というか、エンターティメントのツボを押さえていないというか・・・。でも終盤の方になると盛り上がってきて、おう!と思った記憶があります。

考えてみれば、ブレードランナーの雰囲気は原作のP・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」よりも「ニューロマンサー」に近く、また大ヒットしたマトリックスの世界のアイディアの一部もこの「ニューロマンサー」から来ているように思えます。そういう点で影響力のあった名作SFだったのは間違いないでしょう。

管理人は邦訳が出て直ぐに一度読んだきりで、再読していませんけど、今読めば印象が変わるかも知れません。

この作品が発表された当時は、SF賞を総なめした斬新なSF小説でしたからね。