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首藤瓜於 「脳男」の感想です。

首藤瓜於「脳男」☆☆

脳男

とある地方都市の型破りな警察官・茶屋は、町を揺るがす連続爆破事件の犯人のアジトに乗り込み、一人の青年を逮捕した。

逃亡した犯人と揉み合っていた青年は共犯者なのか?

しかしどこか様相がおかしい謎の青年・鈴木一郎(何とあの大リーガーのイチローと同姓同名です)の正体を探るべく、茶屋は美人精神科医の鷲谷真梨子に精神鑑定を依頼した。

鈴木一郎には感情がない。

あることからそう推論した真梨子は、徐々に青年の驚くべき正体を明かしていく。そんな中で、逃亡した爆破犯が新たに事件を起こす・・・。


第46回の江戸川乱歩賞受賞作で、いわゆる本格ミステリィとは少し違うサイコ・サスペンス風な味わいがありながら、かといって不気味なところがあまりなく、軽くサクサクと読める、少し変わった雰囲気のあるサスペンスです。

感情を持たない青年が犯罪者を殺そうとする理由は何か?

鈴木一郎を狙う連続爆破犯緑川との対決をクライマックスに持ってきながら、物語のメインテーマが連続爆破事件ではなく、鈴木一郎という人間の成り立ちになっているところが、乱歩賞受賞作らしからぬ斬新なミステリィ作品という印象を受けました。