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TYPE-MOON/佐々木少年 「真月譚 月姫」の感想です。

TYPE-MOON/佐々木少年「真月譚 月姫」☆☆☆

真月譚 月姫

幼い頃に死にかけてから全ての「モノ」が持つ「死の線」が見えるようになった少年・遠野志貴は、長く入院していた病院から実家に記憶が曖昧な状態で戻ってきた。

志貴の両親は既に亡くなり、実家では妹の秋葉が翡翠、琥珀という双子のメイドとともに暮らしている。

志貴には「死の線」が見えるだけでなく、その「死の線」をナイフなどでなぞるだけで、そのモノに死をもたらすことが出来る。

モノは生物に限らず物体であったり建物であったり、ともかく「死の線」が見えさえすれば、志貴はどんなものにでも死を与えられた。

ある時、道で一人の美しい少女を見かけた志貴は突然意識が混濁し、内なる声があの女を殺せと命ずるまま「死の線」をなぞって少女をバラバラにしてしまう。

意識を取り戻した志貴は、今のは夢だったかと思うが、数日後志貴の前に惨殺されたはずの少女アルクェイドが現れ、よくも私を殺してくれたわねと志貴を非難する。

実はアルクェイドは不老不死の吸血鬼の真祖で、人間を襲う邪悪な吸血鬼を退治するためにこの街に来ていた。

丁度その頃、街では全身の血液を抜かれて人が殺される連続猟奇殺人事件が発生し、それにはアルクェイドと対峙する強力な吸血鬼ネロ・カオスの陰謀が隠されている。

志貴はアルクェイドとともに吸血鬼と戦うことになっていく。


物語はもう少し複雑ですが、単純化すればこんな感じです。

TYPE-MOONの「月姫」というゲームをマンガ化した作品で、吸血鬼の祖として長く生きてきた少女アルクェイドと全てのモノの死を見透かす能力を持つ少年・遠野志貴とのロマンスを絡めながら、二人が協力して他人に取り付いて何度も転生する吸血鬼と戦う姿を描いたアクション・ファンタジィです。

なかなか凝った設定で登場人物もよく練られています。

ゲームをマンガ化すると暗黙の了解知みたいなものがあって、内容を知らない読者にはピンと来ないところがあったりしますけど、この作品に関してはそういう事はありませんでした。

管理人はゲームが原作とか一切知らずにコミックを読みましたが、とても面白かったです。

天然ボケキャラのアルクェイドが可愛らしくて、志貴はそんなアルクェイドに普通の人間の女の子の幸せのようなものを与えたいと考えるようになります。

なかなか血なまぐさい話ではありますけど、全体的な印象はそうでもない。

管理人はまず絵が好きです。志貴に自分の吸血鬼としてのおぞましい面を見せたくないアルクェイドが好きです。

なかなか完成度が高いロマンチック・ファンタジィだと思います。