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山田太一 「君を見上げて」の感想です。

山田太一「君を見上げて」☆☆☆

君を見上げて

1990年に刊行された小説で今の時代とは少し感覚が違うかも知れませんけど、小柄な男性と背の高い女性との恋愛を描いた小粋な雰囲気が感じられる小説です。

こういう作品が絶版なのは正直残念です。


ソウルに向かう旅客機で、身長163センチの錠前師・高野章二と身長182センチの女性・小坂瑛子は知り合った。

最初は瑛子を器量の悪い女だと感じた章二だが、しかし実際には瑛子はなかなかの美人で、語り合ううちに二人はお互いが何となく気になりだす。

でも気にはなるものの、19センチも女性の身長が高いと恋人というのには不自然??他人にどう見られるのかも気にかかるし、付き合うと言ってもなぁ・・・。

そんな二人の恋愛を描いたラブストーリー。

身長差は瑛子も気にしているけど、どちらかと言えば背は低くともきかん気の章二の方が気にしています。

そんな二人にちょっとした事件が起こって二人の仲が進展していく。

身長差に限らず、少しでも他人と違うとそれを気にする国民性は今でもそんなに変わらない気がしますが、そういう障害(?)を乗り越える二人が少し輝いています。

山田太一らしい人間観察や気の利いたセリフにも魅力がある作品です。