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竹内友 「ボールルームへようこそ」の感想です。

竹内友「ボールルームへようこそ」☆☆☆

ボールルームへようこそ

特に打ち込めるものもなく暮らしてきた中学三年生の富士田多々良が、ふとした事からダンス教室に通うことになり、競技ダンスの世界に入っていく姿を描いた青春マンガです。

映画の「シャル・ウィ・ダンス」とボクシング・マンガ「はじめの一歩」を足したような印象の作品ですけど、特に取り柄もなく友人も少ない優しく気弱な中学生の男の子が、競技ダンスの世界に触れて魅了され、秘めた才能を発揮していく姿にはワクワクさせられます。

団体スポーツでもなく、かといって個人競技でもない競技ダンスの世界。

男性が女性をリードして舞踏室(ボールルーム)で繰り広げられる優雅な戦い。

なかなか絵にすることが難しそうな世界を見事に描いて、競技会でのダンスのシーンは迫力があって、競技者の心理も上手く描かれていて、そこに少年漫画の王道である成長物語が入っているという素敵な作品になっています。

中学生の多々良のダンスへののめり込みぶりも面白いですけど、高校生になり千夏というパートナーも見つけて、指導者も得て本格的にダンスに打ち込むものの、うまく行かずに悩む多々良の姿が良いですね。

とても面白い作品で、管理人は何度も再読してしまいましたが、中々続編が出ないのが気にかかります。