中年の私立探偵とその助手が身近な事件を解決する姿を描いた連作短編集です。

まぁそんな風に一言でまとめてしまうと何の特徴もない作品のようですが、探偵というのが一流企業に長年勤務していながら、「転職者支援制度」（要するにリストラですね）を利用して私立探偵事務所を開いたという変人の仁木順平。

その探偵事務所の押しかけ助手になったのは、一見すると高校生に見えるけれども、本人いわく「これでも人妻」だという品の良い謎の美少女・市村安梨沙。

この二人が、探偵事務所に持ち込まれる難事件（？）を解決していく物語ですけど、事件の謎とかは大した事はなく、それよりも登場する様々な人物に焦点を当て、不思議の国のアリスに見立てた作品を進めていく辺りが、加納朋子らしい作品という感じです。

世間離れしたおっとりとした展開の中にも時折醒めた視線が感じられます。

管理人には、家族持ちなのに憧れていた流行らない探偵になれた主人公の環境が羨ましかったですね。