加納朋子「ガラスの麒麟」☆☆☆

ガラスの麒麟

なんでも知っている養護教諭の神野菜生子先生と、殺された17歳の美少女・安藤麻衣子が全ての物語に絡んで進行する繊細で優しい珠玉の連作ミステリィ短編集です。

さり気なく張られた伏線に納得して感心して、物語は最後に一つの作品にまとまります。

感じやすく脆い少女達の心の動きを綺麗な筆致で描き、寂しさや優しさ、そして時には不可解な闇が忍び込む人の心を浮かび上がらせた作品だと思います。

少女たちの気分は、感性が鈍い管理人にはピンと来ないところもありますけど、探偵役の神野先生の暖かい人柄と、それとは反対の加納作品には珍しい尖った部分があって、全体的に味わいのある小説だと思いました。


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