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五十嵐貴久「こちら弁天通りラッキーロード商店街」の感想です。

五十嵐貴久「こちら弁天通りラッキーロード商店街」☆☆

こちら弁天通りラッキーロード商店街

友人の保証人になったことから莫大な借金を背負った男・笠井武が、借金取りから逃れるために妻子と別れ、何もかも失って流れ着いた先は地方のシャッター商店街にある無住寺だった。

自殺するつもりでいたのに、雨に濡れた服を脱いで寺にあった袈裟を着て寺に泊まり込んだところ、笠井は翌朝訪れた老夫婦に新しい住職だと間違えられてしまう。

誤解を解く間もなく住職に祭り上げられ、しかも寺に集まった檀家たちは老人ばかりで、口を揃えてポックリと行かせて欲しいと言う。

聞いてみれば、近所に出来たショッピング・センターや安売り店の影響で商店街は死んだも同然の状態で、店主たちは細々と店を開くのみ。みんな早く楽になりたいと話す。

そんなことオレとは関係ないと思ったものの、仕方なくいい加減な事を言ったところ、何故かそれが上手く行ってしまい・・・。


借金取りに追われる普通の中年男性が、ひょんな事からシャッター商店街を立て直すという物語です。

現実感はありません。

誰がやってもどうにか出来るような話でもありませんし、特にこの作品で商店街再生のきっかけとなる100均一商店街などありえない。

そう意味ではファンタジィですね。

でも辛気臭いところはないし、ふ~んという軽い気持ちで読む分には良いんじゃないでしょうか。

個人的には値段勝負ではなくサービスで勝負というのが、小さな店が生き残る解だと言う気がしますが、現実には厳しいものがあるんでしょうね。

実際にシャッター商店街のお店の人が読んでも参考にはならないと思いますが、気晴らしにはなるかもしれません。

少なくとも明るい気分にはなりそうです。