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石塚真一「BLUE GIANT EXPLORER」の感想です。

石塚真一「BLUE GIANT EXPLORER」☆☆☆

BLUE GIANT EXPLORER

世界一のジャズプレーヤーを目指す青年・宮本大を主人公にしたジャズマンガ「BLUE GIANT」の第3部です。


ドイツから始めたヨーロッパでのジャズプレーヤーとしての修行を重ねて、自らの成長を実感した大は、時には対立しながらも互いのプレイスタイルを理解し信頼を重ねた仲間に別れを告げ、いよいよジャズの本場アメリカに向かうことを決意する。

日本国内で運転免許を取得し、ヨーロッパで知己を得たジャズ界の大御所の推薦によりアーティスト・ビザを入手した大が最初に降りたアメリカの地は、ジャズが盛んな東海岸ではなく、西海岸の都市シアトルだった。

この地をスタートとしてアメリカの様々な街を訪れ、アメリカの音楽やジャズを理解して演奏の幅を広げ、やがては世界一のジャズプレーヤーになるという大の旅が始まる。


シアトルに着いた宮本大が、アメリカの各地を巡るために中古車を入手しようと働き始めた修理工場の頑固な主人と、そこで働くロック・ミュージシャンの物語から始まる第3部です。

舞台こそヨーロッパからアメリカに移りますが、大の熱い気持ちと演奏が、初めは大を「なんだコイツは」というような目で見ていた周囲の人たちの気持ちを変えていくというスタイルは前作までのままで心地良いです。

仮にそこで認められたとしても、一つの場所に留まらずに様々な土地を巡って自分を高め成長していこうとする大の姿と、彼をいつしか応援してしまう人々が熱いですね。

前作の「BLUE GIANT SUPREME」と違って、4巻まで読んでもまだ大の仲間となる個性的なプレーヤーは登場しませんが、4巻のお終いの方でそれっぽい人物が現れましたし、これからの展開がとても楽しみな作品です。