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青野春秋「100万円の女たち」の感想です。

青野春秋「100万円の女たち」☆☆☆

100万円の女たち

事件など何も起こらない退屈な小説を書く売れない小説家の道間慎。

慎の父親は妻に浮気されて逆上し、妻と浮気相手の男、そして通報を受けて駆けつけた若い警察官の三人を殺害し、死刑の判決を受けた殺人犯。

父親が事件を起こした直後に文学賞を受賞した慎は、それ以来世捨て人のようになり、父親が残した家で退屈で売れない小説を淡々と書き続けるようになった。

そんな慎は今、謎めいた5人の女たちと一緒に暮らしている。

女たちは毎月28日に一人100万円ずつ渡すという条件で、慎の自宅の部屋をそれぞれ一室借りて住み、慎は彼女らの食事の世話をしたりしている。

風変わりなシェアハウス状態だが、売れない小説家の慎には毎月500万円の収入はありがたい。

しかし女たちは、どのようにして100万円もの大金を工面しているのか?

果たして女たちの正体は?

この奇妙な状況は、誰がどんな意図で作り出したのか?


毎月100万円の家賃を支払う女性たちと同居する売れない小説家を主人公にした、摩訶不思議なサスペンス・コメディです。

淡々とした雰囲気で、ヘタウマ系の絵柄で、ラブコメ風の展開があったりして、それにどこかコミカルでありながら、ものすごくシュールで、ある意味気味の悪い設定のマンガですが、主人公の慎が持つ独特の雰囲気が妙に魅力的で引き込まれてしまいます。

全4巻という長さも適当で、先の読めない展開には正直驚きました。

全体的にはサスペンス・ミステリィなんでしょうけど、でも少し風変りではあるけど愛の物語でもあるし、ヒューマン・ストーリーでもあります。

こういう作品は舞台化すると面白いんじゃないかな、と思いました。