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ジョージ・R・R・マーティン「サンドキングズ」の感想です。

ジョージ・R・R・マーティン「サンドキングズ」☆☆☆

サンドキングズ

「龍と十字架の道」「ビターブルーム」「<蛆の館>にて」 「ファスト・フレンド」 「ストーン・シティ」「スターレディ」 「サンドキングズ」の7篇を収録した短編集で、表題作は1980年のヒューゴー賞・ネビュラ賞の中編小説部門受賞作です。


「龍と十字架の道(The way of Cross and Dragon)」
遠い未来、キリスト騎士団の異端審問官にして宇宙船・救世主の真実号の船長の私が読んだ異端のイスカリオテの聖ユダ修道会の聖書「龍と十字架の道」。それはユダこそが救世主であり、しかもキリストを裏切ったのはユダではないという物語。宗教を題材にしたユニークな設定のエンターティメントながら、宗教や信仰などに対する深い洞察が示された短編で面白かった。

「ビターブルーム(Bitterblooms)」
厳寒の厳しい自然の中で何かから逃走している女性が過去を回顧する物語。アーサー王伝説の魔女モーガンが重要な役どころで登場しているけど、よく分からない小説。

「<蛆の館>にて(In the House of the Worm)」
<蛆の館>に続くダンジョンを進むパーティが経験する恐怖を描いたRPG風SFホラー。話がとりとめなく進行するイメージですが、どこか人種差別に対する嫌悪のようなものが感じられたりして文学性を少し感じました。

「ファスト・フレンド(Fast-Friend)」
宇宙空間で超光速で移動できる暗黒体と人間との共生に憧れる男の物語で、このSFも分かりづらかったですね。

「ストーン・シティ(The Stone City)」
人類よりもはるか以前に栄えた宇宙人が構築したストーン・シティにやって来た人類の話。

「スターレディ(Starlady)」
某惑星の場末のスラム街から始まるピカレスク・ロマン風のSF。

「サンドキングズ(Sandkings)」
風変わりな異星生物を飼うのが趣味の男サイモンが夢中になった昆虫型生物サンドキングズ。飼育器の中で育つ知性を備えたこの生物は、自分達の巣に飼い主の顔を彫りあげ神として崇拝するという。しかし残酷な性格のサイモンはサンドキングズ同士を戦わせ、様々な試練を与え続けた。グロテスクな雰囲気のSFホラーで実に印象的な作品でした。


分かりづらい作品や微妙な作品もありますけど、「龍と十字架の道」「<蛆の館>にて」 「サンドキングズ」は面白かったですね。