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半村良「黄金の侏儒宮」の感想です。

半村良「黄金の侏儒宮」☆☆

黄金の侏儒宮

「黄金の侏儒宮」「蛇と剣」「アクナル・バサックの宝」「復讐のギャンブラー」「撲られる」「つむじ風殺人事件」「サラムム」の7篇の短編を収録した短編集です。


「復讐のギャンブラー」がどことなく暖かみがあって好き。こういう一見すると取り柄がないような青年を描かせると、半村良は冴えるような気がします。
以前読んだ「わが青春のESP」と似た雰囲気の作品で、青い小便が出たり、太陽が青く見えるとギャンブルに強くなるなんていう状況が成る程ねという感じ。登場人物に悪人がいないところも好きです。

「アクナル・バサックの宝」は非現実的なお話で、半村良のSFという気もするけど、もっと良い作品になっても良い。

身近の微妙な恐怖感を描く「撲られる」には、共感を覚えます。隣りに座っている男が突然殴りかかってくるんじゃないかとか、突然電車の線路に突き落とされるんじゃないだろうかとか、状況からして意味不明の恐怖感を感じることって、管理人もあります。しかも昨今では本当にそんな事件が起きるし・・・怖い世の中になったものです。