ロバート・ゴダード「石に刻まれた時間」☆☆
最愛の妻マリーナを亡くして気落ちした「ぼく」は、親友マットとその妻でマリーナの妹でもあるルーシーに誘われ、二人が住む邸宅アザウェイズに逗留する。
しかしこの邸宅は、かつて夫が妻を射殺した事件の舞台となった場所であり、今なお不思議な現象が現われる場所だった。
ゴダードらしい重厚な雰囲気は感じますけど、本格ミステリィというよりはホラー風の味わいがあるサスペンス・ミステリィといった作品です。
読み終えた感想も、ゴダード作品としてはうーんという感じ。
感動するとか余韻があったかというと、やや微妙な気がしますが、じゃあ面白くないのかと言えば、これが案外と面白かった。
幾つかの謎があり、それが新たに違う謎を呼ぶという展開はとても楽しめます。
しかしそこにスパイの話が絡んだりすると違和感を感じてしまう。
もう少し整理された世界の方が管理人には分かり易いようです。
また登場人物が今ひとつ薄っぺらな印象です。
ゴダードの作品にはどうしても期待が大きくなるので、結果的にやや残念でしたけど、でもしみじみとした感動作ではないけど、エンターティメントとしては楽しめるサスペンスだと思います。