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ロバート・ゴダード「惜別の賦」の感想です。

ロバート・ゴダード「惜別の賦」☆☆☆

惜別の賦

姪の結婚披露宴に突然現れた「わたし」の少年時代の親友ニッキーは、「父さんを殺したのは誰なんだ」という疑問を口にして翌日自殺した。

ニッキーの父親は「わたし」の大伯父殺害の罪で死刑判決を受け、それ以来ニッキーと「わたし」は34年間疎遠になっていた。

ニッキーの自殺を契機にして様々な事が起こり始め、「わたし」は親友を見殺しにした罪悪感もあって過去の謎を解き明かそうと動き始める。


ゴダードらしいゆったりとしたリズムで語られる物語です。

おおよそ思った通りに展開するミステリィですけど、もともと意外性のあるプロットがゴダードの特徴ではありません。

この小説もゴダード作品らしく、人間の運命の不思議さを強く意識させるようなミステリィになっています。

主人公の行動はところどころで極めて軽率という感じも受けますが、全体的に彼は共感できる性格の人物で、それだけにゴダード作品に多くみられる何となく不幸せな結末とは違ったラストが、管理人にはうれしい気がしました。

登場人物やら設定が良く判らなくなって、何度も前に戻ったりして読みましたが、楽しめるミステリィでした。