桂望実「地獄の底で見たものは」☆☆
とんでもない状況でピンチを迎えたアラフィフの女性が、ピンチをチャンスに変えて大逆転するという主題の短編4篇からなる作品集です。
「五十三歳で専業主婦をクビになる」は、あまり会話することはないけど、それなりに上手く行ってると思っていた夫から、突然離婚を切り出された専業主婦の話。しかも好きな女が出来たからというのが離婚の理由。貰うものを貰って、アパートで一人暮らしを始めたものの、自分には生活力がない・・・と思っていたけど、なんとか仕事を見つけて働き出したら新しい発見、新しい友人が出来て・・・。
お終いではスッキリします。そりゃそうだろう。
「五十一歳でこれまでの働きぶりを全否定される」は、旅行代理店で新規事業を立ち上げて、業績が伸び悩んでいた会社に貢献してきたと自負していた女性が、社長のお気に入りだけど自分よりも社歴も能力も劣る男性社員が役員になったことから、独立する物語。
「四十六歳で教え子の選手に逃げられる」は、子供の頃から二人三脚でオリンピックを目指していた水泳選手が、もっと自由にやりたいと別のコーチの元に行ってしまって戸惑うスイミング・コーチの話。スパルタ指導しか出来なかった彼女にも問題は有ったかもしれないけど、それを反省して前に進む姿は良いですね。
「五十二歳で収入がゼロになる」は、22年間も続けたラジオ番組のパーソナリティをクビになった女性が、今まで培ってきた会話術を上手に利用して人脈を広めていく物語。
4話全てが、頑張って生きてきた女性が、何だかんだあっても同士だと思っていた男性からの裏切り(?)によって窮地に陥るけど、最後は見返してざまぁみろと言う感じに終わる話で、私は男性ですけど、ここに登場する裏切り者たちには同感出来ませんので、素直にスッキリして終わりました。
出来過ぎの話ですが、勧善懲悪的に進んで、単純に面白かったです。