面白い本を探す

桂望実「県庁の星」の感想です。

桂望実「県庁の星」☆☆

県庁の星

とある地方都市の県庁勤務の若手エリート上級職たちは、革新知事が言い出した民間との人事交流研修で民間の手法を学ぶという名目のもと、地元の民間企業に1年間の研修を命じられた。

その一人、産業振興課主任の野村聡が研修を命じられた派遣先は、業績が落ち込んでいる地場の中小スーパー。

やる気のない店長や店員たちはリストラの影に怯えながらも、あまり熱心に仕事をしているようには見えず、その中でエリート意識をむき出しにした野村はスーパーの現場に馴染めず、現実を見ない素っ頓狂な行動で改革に挑み、完全に周囲から浮いてしまう。

そんな野村の指導にあたるのは、実はこのスーパーを取り仕切っているパートのおばさん二宮泰子で、二宮と野村は時には対立しながらも、突然現実となったリストラに立ち向かうため協力して店を建て直していく事に・・・。


織田裕二と柴咲コウの主演で映画化された作品の原作になります。

映画を見た時には原作がある事を知りませんでしたが、映画も面白かったけれども、小説はそれとは少し違う設定ながら、こちらも面白い作品です。

映画では柴咲コウが二宮を演じていましたが、原作では若い娘さんではなくおばさんだったんですね。

色恋は関係ない話で、これはこれで面白いというか説得力が有ります。

理論的だけど頭が固くて勉強が出来るだけという野村が、パートのおばさんながら観察力と応用力と実行力が有って現場に精通している二宮の元で成長して行く姿が面白いビジネス小説でした。