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ニール・ゲイマン「コララインとボタンの魔女」の感想です。

ニール・ゲイマン「コララインとボタンの魔女」☆☆☆

コララインとボタンの魔女

両親と一緒に古くて大きな屋敷に引っ越してきた想像力豊かな少女コラライン。

両親は忙しくしているし、コララインが一人で屋敷の中を探検していると、あまり使われていない部屋の大きな扉の先がレンガで区切られているのを見つける。

でもある日、両親のいない日にコララインがその扉を開けてみると、レンガはなくなっていた。

コララインが扉の先に進むとまた同じ部屋に出て、そこにはボタンの目をしたお父さんとお母さんが待っていて、コララインにとても優しくしてくれる。

「こっちの世界にずっといない?」というボタンの目をしたお母さんの誘いを振り切って自分の世界に逃げ帰ったコララインだけど、お父さんもお母さんもいなくなっていた。

もうひとつの世界に囚われたお父さんとお母さんを助けるため、コララインはまた扉を開けた。


不思議な世界での幼い少女の冒険と成長を描いた、程よい空想力に満ちた子供向けのダーク・ファンタジィです。

「千と千尋の神隠し」を連想したりもしましたが、傾向はまた少し違った感じです。

ニール・ゲイマンが描く世界には、どことなく不思議なおかしみが有りますが、この作品の中に出てくるもう一つの世界も本当はもっと不気味に描けただろうに、そういう怖さは狙っていないみたいです。

ちょっとだけ怖いという児童書の基本を押さえた子供向けのファンタジィですが、ゲイマン作品らしく大人が読んでも面白い小説でなかなか良かったです。