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M・W・クレイヴン「ストーンサークルの殺人」の感想です。

M・W・クレイヴン「ストーンサークルの殺人」☆☆☆

とある誘拐事件の捜査資料を過失から被害者の家族に漏らしたとして停職処分を受けていた国家犯罪対策庁重大犯罪分析課の元警部ワシントン・ポーは、以前の部下で今はポーの跡を継いでいる警部ステファニー・フリンから現場復帰を打診された。

ポーが住んでいる英国カンブリア州のストーンサークルで発生している連続猟奇殺人事件の捜査に協力して欲しいという話に、今の農場ぐらしを気に入っているポーは一旦は断るが、三番目の被害者の損壊した死体を分析した結果、ポーの名前と5と思われる文字が発見されたことを告げられたことで、5番目の犠牲者がひょっとしたら自分になるかも知れないと現場復帰を決める。

ストーンサークルで起きている連続殺人事件は、70代の社会的地位の高い老人が拘束され拷問されて焼殺されるという不可解な事件で、しかも被害者同士に何らかの繋がりは発見されなかった。

ポーが現場に復帰した後、新たな犠牲者が発見され、ポーはステファニーと天才的な分析官ティリー・ブラッドショー、そしてカンブリア州警察の刑事キリアン・リードとチームを組んで事件の解決に挑むのだが・・・。


冷静に捜査を進めるステファニー・フリン、直情的で直感を活かして操作するワシントン・ポー、そして人間関係に問題を抱える天才分析官ティリー・ブラッドショーの組み合わせが魅力的なゴールドダガー賞受賞のサスペンス・ミステリィです。

ともかくいじめが嫌いで、そういう場面に会うと粗暴な傾向を見せるポーと、IQはとても高いけど他人とのコミュニケーションに問題があり、質の悪い人間に絡まれる事が多いティリーが、協力して捜査にあたっている中に心を通わせていく様子が魅力的です。

事件を捜査していく際のポーの閃きには唐突な印象を受けてしまいますが、些か強引とも思える話の展開はスピーディーで面白い作品でした。

凄惨な連続殺人の割には不快感はあまり感じず、読み進むうちに事件の謎や犯人は何となく見当が付きますが、犯人が分かった後にも物語が続いたのが意外でした。

シリーズ物になっているようですので、続編も楽しみになります。