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マイケル・マーシャル「死影」の感想です。

マイケル・マーシャル「死影」☆☆☆

死影

フィリップ・K・ディック賞を受賞した怪作「オンリー・フォワード」の作者が書いたサイコ・サスペンスで、サスペンスと言いながら結構とんだ世界が描かれています。


両親を交通事故で亡くした元CIAの職員ウォードは、「私たちは生きている」という父直筆のメモと、いかにも曰くありげな1本のビデオ・テープを発見し、友人の助けを借りてこの謎を追いかける。

一方で裕福な家庭の少女ばかりを狙った連続殺人事件が発生し、その事件を追うFBIの女性捜査官ニーナと、その殺人事件の犠牲者の父親の元刑事ザントは、新たに起きた事件の調査を行っていた。

一見無関係に見える二つの事件が交差する時に、仕組まれた陰謀が明らかになっていく。


「孤影」「惨影」と続くサスペンス・シリーズの最初の作品ですので、やや消化不良な終わり方をしますが、倫理観が欠如した謎の組織ストローマンと対決する物語は興味深くて、続編を是非読みたいという気分になります。

殺伐としていながらもどこか味わいの有る世界と、そんな世界に生きる割には善良な雰囲気を漂わす主人公、そしてとても奇抜な展開。

マイケル・マーシャルは好き嫌いが分かれる作家だと思いますが、管理人は相当好きなタイプの作家で、この作品も面白かったです。