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瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」の感想です。

瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」☆☆

そして、バトンは渡された

17歳の高校生・森宮優子は義父・壮介と二人で暮らしている。

東大卒で超一流企業に勤めている森宮壮介は少し変わったところがある人だけど、優しくて、優子の良い父親であろうと努力して、でもそんな壮介の事をお父さんとは呼べずに、優子は森宮さんと呼んでいるけど仲が悪いわけじゃない。

中学を卒業した時に義母の梨花が高校の同級生だった壮介と結婚し、優子は泉ヶ原優子から森宮優子に変わったけど、結婚して少し経った時に梨花が家を出て二人は離婚し、優子は壮介と二人で暮らすようになった。

優子は生まれた時には水戸優子だった。

実の母は優子が小さい頃に亡くなり、優子が小三になった時に実の父・秀平は梨花と再婚し梨花が優子の母親になった。

小五になる春に秀平が転勤でブラジルに行くことになり、ブラジルには行きたくないと言う梨花と離婚、梨花と仲が良かった優子は友人たちと離れたくない気持ちもあって、梨花と一緒に日本に残った。

養育費は貰っているけど若い女性一人の稼ぎでは生活も苦しい。でもそんな中でも二人は仲良く暮らしていたが、優子の何気なく口から出たピアノが欲しいという言葉から、梨花が突然裕福な男性・泉ヶ原茂雄と結婚を決めて、優子は泉ヶ原優子に名前を変えた。

この小説はそんな風にして、父親が三人、母親が二人いる若い女性とその家族のあり方を描いた作品です。


複雑な家庭環境の少女が主人公の物語ですけど、登場人物が基本的に良い人ばかり(一部でいじめの問題が描かれてはいますが・・・)なので、辛い気持ちになるようなことはありません。

そもそも主人公が物事にこだわらずに自然体で生きているので、不幸という感じが一切しません。

そういう意味では、心温まる話ではあってもリアリティのない話で、一種のファンタジィですね。

サクサク読めて明るい気分にはなりますが、それだけという気もします。