面白い本を探す

マーティン・スコット「魔術探偵スラクサス」の感想です。

マーティン・スコット「魔術探偵スラクサス」☆☆

魔術探偵スラクサス

魔法の国トゥライの魔術探偵スラクサスは、大酒飲みでだらしない小太りの中年男。

元々は由緒ある魔術師だったのに、飲んだくれて職を失い、借金で首が回らず、呆れた妻は家を出てしまった。

自堕落な日々を過ごしている関係でぶくぶくと太り、小汚い下宿に一人で暮らす侘しい毎日。

友人と呼べるのは、たまに仕事を手伝ってくれるオルクとエルフの混血の超美人剣士マクリくらい。

そんなスラクサスに、ある日仕事の依頼が来る。

正体を隠しているものの、この依頼主はトゥライの皇女のようで、スキャンダルをもみ消して欲しいとの事。

おっとりと出かけたスラクサスだったが、面倒な殺人事件に巻き込まれ、王国を巡る陰謀に否応なく引きずり込まれていく。


面白いミステリィ・ファンタジィです。

舞台は魔法が使える世界ですが、謎解きは魔法とは関係なく、フェアにものごとが解決されます。

主人公は少々情けないところがありますが、美人剣士マクリを始めとする女性たちが格好良く、暗殺ギルドの凄腕の殺し屋もなかなか魅力的に描かれています。

主人公がくたびれた中年男なだけに、周囲を固めている脇役がスマートで素晴らしい。

とても楽しめるシリーズ作品ですが、この続編は邦訳されていないようなのが残念です。