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佐藤雅美「百助嘘八百物語」の感想です。

佐藤雅美「百助嘘八百物語」 ☆☆

百助嘘八百物語

気のいい江戸っ子鳶人足の辰次が助けた爺さん百助は、とんでもないイカサマ師。

百助爺さんの口車に乗せられて子分になった辰次は、いつの間にやら一攫千金を狙う仲間にさせられて、江戸・播州・長崎・大阪と「金儲け」の手伝いに駆り出される。


調子が良くて滑稽でテンポの良い気楽な物語ですが、それでも佐藤雅美らしい時代考証のしっかりした江戸時代の投機の仕組みやら、様々な金融取引の場面が描かれている時代小説です。

世界で初めて先物取引をシステマテックに行ったのは大阪堂島の米相場らしいですけど、そういう事情を背景にしながらも堅苦しくない時代経済小説のような作品で勉強になります。

全体的には調子の良い夢物語で、読んでいてとても楽しい作品でした。