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羅川真里茂 「ましろのおと」の感想です。

羅川真里茂「ましろのおと」☆☆☆

ましろのおと

知る人ぞ知る津軽三味線の名人だった祖父松吾郎が亡くなり、三味線の演奏に迷いが出た天才少年・澤村雪が、青森の家を出て目的もなく東京に行く場面から物語が始まります。

登場人物がある意味奇抜で、こういう人はなかなか居ないよなぁと思わせますが、徐々にデフォルメされた人物像が気にならなくなって、津軽三味線の世界に引き込まれていきます。

正直言って三味線はマイナーな楽器だと思います。

その世界に引きこまれた若者がこんなに居るとも思えませんが、何かに打ち込む青春というのは、それだけで読者を惹きつける力がありますね。

日本の伝統芸能を描いたマンガというのは、この作品もそうだし、競技かるたに打ち込む若者を描いた「ちはやふる」や将棋の世界を舞台にした「3月のライオン」など興味深い作品が多いですね。

チームを組んで演奏するところなどにも、津軽三味線ならではの雰囲気が出ていて迫力があります。

何やら複雑な人間関係がさらっと描かれていて、そうした中で雪とその周囲の人達の成長が描かれています。

ストーリーのしっかりしたマンガがコミックで20巻を超えるような長さになると、パターンが大体決まってきて飽きてくるものですけど、この作品は今の所そんなこともなく、これからの展開が楽しみな作品です。