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宮部みゆき「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」の感想です。

宮部みゆき「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」☆☆☆

泣き童子 三島屋変調百物語参之続

ある事件が元で気鬱の病にかかった旅籠屋の娘おちかが、江戸・神田で三島屋という袋物屋を営む叔父の家に引き取られ、三島屋の客として訪れる人たちが語る不思議な出来事を聞く事で生きる力を取り戻していくという時代小説「三島屋シリーズ」の第3作目の作品です。

「魂取の池」「くりから御殿」「泣き童子」「小雪舞う日の怪談語り」「まぐる笛」「節気顔」の6篇を収録しています。


前作までは恐ろしい話や少し愉快な不思議話などを織り交ぜながら、全体的には人情モノを基調にした江戸怪談でしたが、この作品はもう少し人の業のようなものを感じさせる物語が多くて、やや暗い印象を受けました。

宮部作品は語り口がどことなく柔らかく、たとえ怖い話やつらい話でも、どこかに優しさや救いのようなものを感じることが多いのですが、この作品に収録されている表題作などは、なかなか厳しいものがあります。

江戸人情話から少し怖い怪談という雰囲気になってきたような印象を受けました。

しかし相変わらず上手いなぁと思わせてくれる語り口は見事です。