面白い本を探す

万城目学「八月の御所グラウンド」の感想です。

万城目学「八月の御所グラウンド」☆☆☆

八月の御所グラウンド

「十二月の都大路上下ル」「八月の御所グラウンド」の京都を舞台に繰り広げられる不思議で、どこか温かい雰囲気を感じる中編2篇を収録した第170回の直木賞受賞作です。

「十二月の都大路上下ル」は冬の京都の都大路を走る女子全国高校駅伝に急遽出場が決まった極端に方向音痴な女子高生の不思議体験を描いた和風ファンタジィ。

チームは27年ぶりに出場を決めて盛り上がっているけど、自分は1年生で補欠だし、タイムももっと速い選手がいるから、街道から応援するだけだと、半分観光気分で京都に来た私は、突然アンカーとして走ることになった。

ものすごい方向音痴だから無理だと言っても、コースは真っ直ぐで途中一度だけ右に曲がるだけだからお前でも大丈夫だと言われ・・・。

雪の中、ほぼ同時にバトンを受けた他校の選手と並走していると、マラソンでよく見かけるような選手と一緒に走りだす一般人を見た。でも何だか人数が多いし、変な羽織を着て刀みたいなものを振り回しているけど、あれってコスプレかな?

どうしてこうなったのかという説明は全く無いですけど、ユニークでどこかふんわりしていて、好きなタイプの作品です。

「八月の御所グラウンド」は、彼女にフラれて夏休みの予定がなくなってしまった大学生が、借金していた友人に草野球に駆り出されて、そこで不思議な体験をするという真夏の怪談話。

現実と幻想が実に微妙な割合で混じり合って、野球を楽しみたいという純粋な気持ちが上手に描かれていて、なんとも言えない風合いがあります。

予想した以上に楽しめる作品でした。