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畠中恵「まんまこと」の感想です。

畠中恵「まんまこと」☆☆

まんまこと

お江戸は神田の町名主の跡取り息子・麻之助とその悪友たちが、ひょんな事から巻き込まれる騒動をコミカルに描いた人情時代小説シリーズです。

お江戸の町民たちのトラブルや事件は町奉行所の管轄だけれども、それ程大事ではない町内のトラブルは、町名主の元に持ち込まれて、町名主が関係者一同がそれぞれ納得するような裁定を下すというのが習わし。

主人公の麻之助は、しっかりしているのかボーッとしているのか良く分からないお気楽な青年ですが、そんな重責を担う町名主の跡取り息子として、父親に叱られながらも、友人たちと協力して、独特の推理力を発揮しな解決策を考え出して行きます。

全体的にユーモラスな雰囲気で描かれた時代小説シリーズですが、物語自体は常にハッピーエンドで終わるわけでもなく、変えようもない厳しい現実があったりもします。悲しい話もあります。

それでも登場人物たちは前向きだし、麻之助は楽観的で明るいので、あまり深刻にならない人情時代小説になっています。