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リサ・クレイパス「ふいにあなたが舞い降りて」の感想です。

リサ・クレイパス「ふいにあなたが舞い降りて」☆☆

ふいにあなたが舞い降りて

19世紀のロンドンが舞台、少しポッチャリ目の体型と男勝りの知識と優しい性格を持つ女流作家アマンダは、両親を看取るために独身を通し、30歳を迎える今日まで男性を知らないで来た。

しかしこのまま年老いていくのではあまりに寂しい。

思い切って30歳の誕生日に初体験をしようと考えたアマンダは、知り合いに男娼を紹介してもらうが、当日約束の刻限に現れたのは、どう見ても男娼とは思えない身なりの知的でハンサムな男性だった。

彼を見て男娼と初体験などバカげた考えだったと思い直したアマンダはその男娼を追い返そうとするが、何故かその男性は面白がって帰ろうとせず、初体験こそしなかったものの一晩を二人で過ごしてしまう。

名前も知らないその男に強く惹かれたアマンダだったが、次に彼と会ったのは、とあるパーティーの場だった。

実はその男性は男娼などではなく、強引なやり方でロンドンで急成長している新興出版社の社長ジャック・デヴリンだった。

かねてからジャックの強引なやりように反感を抱いていたアマンダ、しかしジャックはアマンダに新しい出版について持ちかける。


女流作家と出版社の若き社長とのロマンスを描いた作品です。

ヒーロー・ヒロインとも見たことのあるような造形で、孤独な人生の影に怯む女性が見知らぬ男性と過ごしたいと考えるところから始まる物語も、こういうロマンス小説には良くあるパターンという気がします。

それでも主人公アマンダが美女と言うわけではなく、そんな自分を「美しい人」と呼ぶジャックに疑わしい視線を向ける辺りはちょっと楽しい感じがします。

自分に今ひとつ自信が持てないアマンダに対して、悪びれたジャックがなかなか立派な人物ですが、これでジャックがヘタレだったらもっと面白かったかも・・・。

そんな感じのヒストリカル・ロマンスです。