リサ・クレイパス「憎しみもなにもかも」☆☆
「想いあふれて」に続く、19世紀英国のボウ・ストリートの捕り手を題材にしたシリーズの第二作目のロマンス小説で、主人公は捕り手ではなく捕り手の雇い主となる治安判事ロス卿になります。
法や治安制度がまだ整っていない時代に、虚弱体質の愛妻を亡くして以来女性には目もくれず、治安を維持し人々の安全を守るという仕事一筋に生きてきた治安判事のロスは、昼夜を問わず働く事によって妻を亡くした喪失感に耐えていた。
そんなロスだが一人で全ての仕事に対応出来るはずもなく、治安判事の補佐役を雇おうとして治安判事補佐官の求人を行ったところ、それに応募してきたのはまだ若く美しい女性ソフィア。
ソフィアの美しさに反応する自分に驚きながらも、あまりに危険な仕事だという事で採用を断るロスだったが、ソフィアはどうしてもこの職につきたいと譲らず、ロスは補佐官というよりも身の回りの世話係りとして彼女を雇う事にする。
美しいだけでなく優しくて気配りが出来るソフィアには、ロスだけでなく誰もが惹かれてしまうが、実はソフィアがロスの近くで働きたいと言うには秘密の理由があった。
微罪を犯したソフィアの弟が、寛大だと噂されていたロスの下した厳しい判決を受けた結果命を落とし、ソフィアはその復讐を果たそうとロスに近づいたのだった
ソフィアはロスを冷酷で自分勝手な人間だと思っていた。
しかし実際に身近に接したロスは想像していたような悪人どころか、高潔で思いやりに溢れ誠実な人物だった。
ロスの人柄を知るにつけ、ソフィアはロスに強く惹かれていく自分を抑えられなくなる。
ロスと敵対する暗黒街の顔役のような扇動者が登場して、思ったような展開になります。
かなりご都合主義が目立つ小説で、話としては前作の方が良く出来ていたと思いますけど、まぁこれはこれで良いのではないでしょうか。