面白い本を探す

ローラ・リー・ガーク「淑女にささげるキスの作法」の感想です。

ローラ・リー・ガーク「淑女にささげるキスの作法」☆☆

淑女にささげるキスの作法

ヴィクトリア時代のイギリス・ロンドンのマーロウ出版社で秘書として働く地味な女性エマライン(エマ)・ダヴは、社内の雑事のみならず社主ハリソン(ハリー)・マーロウ子爵のプライベートな面倒事までも嫌な顔をせずに淡々と引き受けて、今や会社になくてはならない存在だった。

エマには作家になるという夢があった。

そのため小説を書き上げてはハリーに見せているのだが、ハリーはこのままでは出版出来ないと語るのみ。

普段の生活ではだらしないハリーだが仕事の勘は鋭く、エマもそんな彼の言うことを信用していたのだが、30歳の誕生日を迎えた日に彼が自分の書いた原稿をまともに読んでいなかった事に気がつく。

ショックと憤りでハリーの元から去ろうかと考えたエマだったが、後ろ盾も何もない自分にはマーロウ出版社を辞めて一人で生きていくだけの力がないし、このまま諦めるしかない。

一度はそう思ったものの、欲しくてもジッと我慢し続けていた高価な扇を若い令嬢に目の前で買われてしまった事で、まずは自分の生き方を変えなくてはいけないと決意し、マーロウ出版社に辞表を提出する。

頼りきっていた秘書に突然辞められて困りきったハリーは、何とか説得しようとエマのアパートに出向くのだが、そこで出会ったエマは地味でハリーの言うことを何でも聞く従順な秘書ではなく、自分の意見を率直にハリーにぶつけてくる美しい瞳を持った女性だった。


ガール・バチェラー・シリーズの第一弾。

出版社で働く作家志望の女性と、その雇い主の貴族の男性との恋を描いたヒストリカル・ロマンスです。

主人公エマは幼い頃から両親の愛情に恵まれず、両親亡き後に彼女を育ててくれた叔母は愛情深いものの躾に厳しく、自分が本当にやりたいことを封印して生きてきた女性。

一方ハリーは若い頃に一目惚れして結婚した妻から疎まれ、妻の駆落ちとその後の離婚騒動で女性に失望している裕福な貴族。

そんな二人が協力し合っている内に惹かれ合っていくというお決まりのパターンですけど、30歳まで寂しい人生をすごしてきたエマの開き直った後の生き方がなかなかスゴくて興味深かったですね。