ロレッタ・チェイス「黄昏に待つ君を」☆☆
老獪な政治家として名高いハーゲイト伯爵の三男アリステアは、小さい頃から女性関係で両親に面倒をかけてきた。
息子の尻拭いにうんざりした伯爵は、アリステアを外交官に仕立てて国外に送り出したが、アリステアはワーテルローの戦いに参戦して名誉の負傷を負い英雄としてイギリスに戻ってくる。
ワーテルローで心身ともに深い傷を負ったアリステアは、以来女性に関心を示さずにファッションにのめり込み、大金を注ぎ込むんでまたも両親に負担をかけ続けていた。
いい加減自分の力で何とかしろと両親に見放されたアリステアは、命の恩人で親友のゴードモア卿が経営する鉱山から運河を引く計画を聞き、反対派を説得するため現地ダービシャーに向かう。
一方ダービシャーに広大な地所を持つ領主の娘ミラベルは、母亡き後現実を直視できずに植物学の道に逃避した父に変わって領地を管理し、近在の地主たちからも厚い信頼を受けている女性だったが、運河の建設には強く反対していた。
何をやってもうまく行かないアリステアは、両親や親友に自分を見直して貰う最後のチャンスだと考えていますが、ミラベルは愛する婚約者と辛い別れをしてまで守り通して来た領地に運河を引きたくない。
そういった本来は敵対関係にあるはずのアリステアとミラベルが、お互いに惹かれ合ってしまい・・・。という内容のヒストリカル・ロマンスです。
婚期を逃した女性ながら子供のような容姿で、どことなく可愛らしいミラベルが魅力的です。
それに対して少し情けない印象のアリステアですが、彼には彼の事情があったりします。
二人の関係についても、ミラベルの方が積極的だったりするのが、なかなか面白いですね。