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山手樹一郎「浪人若さま颯爽剣("虹に立つ侍"を改題)」の感想です。

山手樹一郎「浪人若さま颯爽剣」☆☆

浪人若さま颯爽剣

浪人・笹井又四郎は一見するとおっとりした気の利かない間抜け侍のように見えるが、実は剣の達人で思慮分別のある頼りがいがある正義感の強い武士である。

その又四郎がひょんな事から尼崎十万石・松平家のお家騒動に巻き込まれてしまう。

松平家では国家老を始めとした奸物たちが自分たちの思う通りに出来ない嫡子・寿五郎を廃して、妾腹の松之丞を藩主・松平伊勢守の跡目に据えて藩政を牛耳ろうと暗躍していた。

彼らは寿五郎を下屋敷に監禁し、寿五郎との婚儀の話が出ている将軍の娘・喜久姫に松之丞を会わせて、喜久姫を松之丞に嫁がせようとしている。

その事を知った又四郎は喜久姫の元に赴き、姫に助力を願うのだが・・・。


「虹に立つ侍」という題名で出ていた作品を改題した、毎度おなじみの展開となる山手樹一郎の時代小説です。

主人公の笹井又四郎は「又四郎行状記」の又四郎ですから、続編のような位置づけになりますかねぇ。まぁ直接関係してはいないけど、この作品を読んでから「又四郎行状記」を読んだら興が削がれるとは思います。

山手作品の理想的な主人公が縦横無尽に活躍しますので、山手ファンにはたまらない作品だと思いますけど、結末の付け方は常識的でしたね。