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山手樹一郎「若さま浪人人情剣」の感想です。

山手樹一郎「若さま浪人人情剣」☆☆

若さま浪人人情剣

とある事情から浪人となった人のよい武士・長谷村修平は、近づいてきた町のチンピラに金をだまし取られてしまう。

それを見ていたチョット小股の切れ上がったイイ女に誘われて、その姉さんの家に上がり込んだはいいものの、どうやら姉さんにも何やら魂胆がありそう。

ところがそんな姉さんを博打の借金のカタにさらおうとする悪どいヤクザが現れ、そのヤクザたちを修平が退治したことから、修平の新しい人助け人生が始まる。


山手ワールド全開の明るい時代小説です。

極端なご都合主義は気になるといえば気になりますけど、そういう事も含めて勧善懲悪でハッピーエンドの安心感がいっぱいの明朗時代小説は心地よいですね。

どこかで読んだようなシチュエーションだと思ったら、この作品は以前「幸福を売る侍」として出版されていた作品を改題したもののようです。

管理人が何となく印象に残っていたのは、この作品の続編の「殿さま浪人」を読んだ記憶があったからでしょうか・・・。

山手作品は作品数が多すぎて、しかも同じような話が多くて、掴まえきれませんね。

管理人は中学生の頃に「素浪人日和」を読んで、それまで読んでいた時代小説がどれも暗かったことの反動から、ものすごく山手作品が気に入ってしまい、やたらと乱読しました。

正義感の強い一本気な若者が活躍する、明るく夢があって恋がある時代活劇は、大衆小説のお手本のようです。

この作品も名作とは言えないでしょうけど、嫌な気持ちになることは多分ない明朗な時代小説で、偶然が重なる物語を素直な気持ちで楽しめると思います。