楳図かずお「神の左手悪魔の右手」☆☆☆
楳図かずおのマンガで何が一番怖かったかと問われれば、管理人は「ママがこわい」と答えますが、何が一番完成度が高いかと問われれば、この「神の左手悪魔の右手」だと思います。
不思議な力を持つ少年、山の辺想が出会う怪異の数々。
古典的な怪談話のようでもあり、ビックリ箱のようでもありながら、実に想像力に富んだ物語が展開され、想が夢の中で見る不思議な力が邪悪な力を追い払い消し去り、時には何かに囚われた人物を救ったりします。
更に管理人が見るところ、必ずしも勧善懲悪というわけでもなく、しかし結末は後を引くようでもなく、ともかく全体的にスプラッター・ホラーでありながら絶妙なバランスで描かれたエンターティメントです。
少年が想像する無敵の存在が、全ての悪を追い払うようなところが兎も角スゴイ。
蘇る死人やお化け蜘蛛や宇宙人や背後霊や、ともかく気色の悪い怖いものが登場する物語なのに、基本的にはそういったモノが好きではない管理人が何度も再読するという、管理人から見るとなかなか完成度の高いホラー・ファンタジーです。